2015年1月の導入を目指し、今年秋の臨時国会に法案提出が見込まれていた「マイナンバー」制度が来年の通常国会に先送りされる見通しとなった。また法案が先送りされれば、15年1月の導入時期がさらにずれ込む可能性が出てきた。
そもそも「マイナンバー」制度とは、社会保険サービスや徴税などをより適切に行なうため、国民ひとりひとりに番号を与えて管理するものである。「マイナンバー」を使用すれば年金や医療など個人に関わる各種情報を一元管理することが可能となり、また煩雑な各種手続きの簡素化見込まれるため、国民および行政の両者にメリットがある。そのうえ、現在よりも脱税防止にも効果があるとの見方もある。
しかし、良いことばかりではない。国民の様々な情報を国が管理可能になるということは、個人情報との関連を無視できない。個人の情報を国がどこまで管理すべきなのかは議論が尽きない。
先般、ある医療関係者との面談のなかで、「マイナンバー」制度が話題となった。というのも、この医療関係者は予防検診の重要性を説いており、個人が過去に受けた検診結果を管理する手段としての「マイナンバー」の有効性を強く訴えていたからだ。現在の我が国は、毎年医療費が増加し、その負担額も併せて増加している。その打開策として、重大な病気になる前段階での発見を目指す予防検診の重要性は納得できる。当然、前述した通りの個人情報の管理は必須であるが―。
物事にはメリットとデメリットが付きまとうのが常であるが、われわれの生活に密接に関連してくる問題だけに、ひとりひとりの問題意識として考えることが肝要である。
【新田 祐介】
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