25日に行なわれた山口県上関町長選挙。即日開票の結果、現職で原発推進派の柏原重海氏(62)(無所属)が当選した。
同選挙は、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を受け、原発の是非を問う建設予定地での選挙として全国から注目を集めていた。原発反対の旗印を明確にする山戸貞夫氏(61)(無所属)に対して、推進派は原発計画にともなう交付金への期待や、公共工事が減少するなか地元建設業者など工事再開を望む地元経済団体の後押しを受けた。原発推進派と反対派の得票率は前回と大きな差は無く、これで推進派の当選は原発計画が浮上して以来9回連続となった。
当選を果たした柏原氏は「まちづくり財源は原発以外にないが、脱原発の道も検討しないといけない。原発の是非は国に判断を待つしかないが、団結すればどんな困難も乗り切れる。国を信頼して30年間推進してきた。(このことを)国がしっかり受け止めることが血の通った政治だ」と、原発計画の維持を訴えるとともに、3期目の意気込みを語った。一方の敗れた山戸氏は、「金のために町民の命と生活を犠牲にしていいのか」と訴えたがおよばなかった。
再選を果たした柏原氏ではあるが、祝島住民の反対運動の継続や福島原発の事故を受けて変わった周辺地域の住民の賛同が得られるのか、また山口県の工事再開の判断など取り巻く環境は厳しい。最終的には国の判断を待つことになるが、「進むも地獄、退くも地獄」の新たな町政運営に臨むことになる。
<上関町長選挙確定投票>
1,868 柏原 重海(無現) 当選
905 山戸 貞夫(無新)
投票率 87.55%(前回88.08%)
【北山 譲】
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