<シリーズ第23回>
<メガスラム>
メガスラムとは「産業がない都市に人が集中すること」「脱工業化と脱農業化が進行した都市と地方のはざま」などのことを指している。福岡市がメガスラムと揶揄される背景に有馬氏は以下のように分析する。
産業とは「人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動のこと」です。では、福岡市はそういった純粋な生産が出来る産業構造があるのかと言えば、そうではない。どちらかと言えば消費地です。もちろん、福岡市にも名通った大企業はあります。ただし、消費を前提にした大企業であって大規模な工場があり、ものすごい雇用を生み出す企業があるわけでもありません。この背景のなか、私は無策のまま、福岡市の人口が増えていることに危機感を感じており、福岡の財界の方々が間違った方向へ向かっていることに違和感を覚えています。
また、九州地区の生産拠点は、次々に海外にシフトして工場がどんどん閉鎖しているわけですから労働人口は減少しているのは周知の事実でしょう。となると、労働者の働く場所がなくなり、バイトとかパート、派遣といった雇用の市場が豊富にある都市、すなわち消費地に流入している現状にあります。
高島市長や行政の関係者は、産業が拡大していないのに人口が増加するということが起きていることに気づいていないのでしょう。福岡市だけでなく他の100万人クラスの都市でも起き始めていることも...。過去に小泉純一郎元首相が行なった自治体の合併が産業に対して大きな弊害を引き起こしてしまったと言えます。合併を行なったことにより行政枠の全体像が大きく拡大しました。人は合併した大きな町に集中しはじめて、産業は取り残されはじめたのです。
福岡市をはじめ、日本の大都市が地方の産業に支えられてきた構造があった。しかし、産業の後退によりメガスラム化している現状があると有馬氏は警鐘を鳴らす。次回は3つのキーワードを元に解説していく。
【道山 憲一】
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