中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。

＜日中友好40周年記念でEXILEなどが中国公演＞

　14人ダンス＆ボーカルユニット、EXILEが９月25日、中国・北京国家体育場（通称：鳥の巣）で、日本、中国、韓国のアーティストによる音楽祭「三国演義・中日韓風雲音楽祭」に出演し、海外初ライブを行なった。このイベントは日中友好40周年と中韓友好20周年を記念し、３国のさらなる文化交流を願い、中国政府が後援する"国家行事"として開催。日本からＥＸＩＬＥ、倉木麻衣さん、Ｈａｐｐｉｎｅｓｓの３組が出演し、韓国のSUPER　JUNIOR、中国国民的歌手、クリス・リーら１２組との競演を果たした。

　今回のライブ会場となった北京国家体育場は収容人員８万人、一部をバックヤードにして４万人の観客を集めた。９月15日に北京工人体育場（収容人員７万人）で行なわれたSMAPのコンサートは主催者発表４万人としていたが実際は２万人ほどだったようだ。中国では経済成長とともに可処分所得が増え、こうしたコンサート会場や映画館などに足を運ぶ人が多くなった。今がまさに文化交流が夜明けを迎えた状況なのだ。

　９月に入り、SMAP、AKB48と日本のトップアイドルたちが相次いでコンサートを開催している。来年（2012年）は日中国交正常化40周年にあたるため、これらの動きには、両国の緊張をほぐしておきたいねらいが見え隠れする節もある。実際のところ、コンサートでは、日中友好を演出するシーンが目立ち、地元のマスコミも、コンサートの成功は、両国の民間レベルの関係改善に貢献すると報じている。

　一部のインターネットユーザーの間では、「アイドルが政治利用されている」と、嘆く声もあるようだが、外交の分野で、今のところ大した成果も出していない日本の政治家よりは、トップアイドルたちのほうが、両国の若者の心をつかんでいるだけ、よっぽどマシだと言えるのではないか。

【杉本　尚丈】

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