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高島市長へ愛の告知

有馬裕之氏からの提言『都市づくりに必要な感性』(5・終)~シリーズ第26回
高島市長へ愛の告知
2011年10月 2日 07:00

<アメリカ型消費からの脱却>
 都市づくりを考えるうえで、アメリカ型消費の考えをそろそろやめるべきだ。アメリカ型消費というのは大量生産を目的としているから大規模な農園をつくり、大規模の消費地をあてにした産業構造です。
 私が提案したいのは、日本古来の産業構造に似た限定地域の自立型プログラムです。現在のように隔離された工場でつくって、ただ売り出すだけの生産ではなく、その地域の特色を前面の押し出した産業が不可欠であると考えています。高島市長だけでなく、みんなで生産と消費というのをもう一度定義し直すことが大切ではないでしょうか。市長が「皆さんができる生産を一緒にやりましょう」と、声をかけるのもいいでしょう。

 もう一度、「産業とは何か?」を考えてほしい。ただ単に大型の誘致だけでなく、もっと小さく個別な産業に焦点を当てて、みんなが参加できるような産業構造の転換を行ない、アメリカ型の産業構造からの脱却を図ることがこれから重要になります。天神にオフィスビルを集中しないで、もっと分散した地域に低層のビルでオフィスを作るのもいいでしょう。

<先進国だと思われていない日本>
 大都市とは、大量消費がなされている地域です。日本ではそのモデルが崩れ来ており、大量消費が難しくなっています。小さな個別なものにも対応していく産業構造が必要なのですが、それを満たす生産要素がなくなり、現在では空洞化が始まっています。福岡市をはじめ、日本の都市はメガスラム化が進んで消費だけが拡大し、生産要素が少なくなっているという『最悪の予測』については前回触れました。これは行政の怠慢によるものです。大きな支店経済をやめて、生活圏自身の個性的文化と歴史を認識し、「日本が一番」とか「福岡が一番」という感覚をもうそろそろやめたほうがいいでしょう。

 仕事の関係上、私が訪れるモンゴルでは、福岡を意識していなし、東京しかみていません。日本は先進国とは思われていません。日本人は先進国と思っている人が多いのですが。
 「地域活性化」「コミュニケーション」「市行政改革」「アジアとの交流」と言いながらも、結局代議士レベルで話が留まっていては何も意味がありません。本当の活性化は、地元住民と行政が一緒になって本気で取り組むことが大切なのですから。

(了)
【道山 憲一】

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