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「疑惑の推薦状」 福岡4区の仁義なき戦い(4)
政治
2011年10月 4日 09:00

 衆議院選挙区の自民党福岡4区支部長と衆院選候補予定者は違うという、まったくもって筋の通らない理屈で出された糟屋郡7町長の推薦状。福岡県町村会長でもある南里辰巳志免町長は、推薦を出したM氏が同選挙区の前職・渡辺具能氏の秘書を務めていた経験を重視し、「即戦力を評価した」という。しかしながら、ことの経緯が明らかになるにつれ、その『即戦力』に疑問符をつけざるを得なくなってきた。

 一部の関係者から『支部長=公認候補者』という自民党のルールについて「7町長は本当に知らなかったのではないか」という声があがっているのである。もちろん、7町長がこれまで選挙に無縁であったわけではなく、全員が知らなかったということはないだろう。それゆえM氏に対し、4区支部長に手をあげた地元のY県議や前職の渡辺氏に話を通していることを前提に推薦状に署名をしたという町長もいる。前述した通り、実際には話が通っておらず混乱を招いているのであるが...。

 推薦状に署名した中嶋裕史須惠町長からは、取材に対して「支部長と選挙候補者では土俵が違う」との説明があった。政界関係者が聞けば「そんなバカな!」と言いたくなる話だろうが、仮に7町長がそう思っていたことが本当ならば、今度はM氏の自民党候補者としての資質が疑わしいものになってくる。

 まさか、元自民党代議士秘書のM氏が自民党のルールを知らなかったとはとうてい思えない。わざと知らない町長に説明を怠り、推薦をもらったとすればなおさら問題だ。また、結果的に来る選挙では支援に回る自民党県議や前職をないがしろにしたことは、身内に敵を作るに等しく、内部対立をしていてはとても選挙どころではない。何より福岡4区は糟屋郡だけではないのである。

 なかには「支部長はY県議、選挙候補者はM氏」という話をごり押しする町長もいるが、自民党選挙対策本部に確認したところ、支部長と選挙候補者が異なった前例は参議院選挙区で過去1度、候補者の差し替えがあった時のみで、衆議院選挙区では「記憶にない」という。
 まさに異例のケースを自民党に認めさせてまで7町長がM氏を推す理由はなんなのか。M氏の『即戦力』が甚だ疑わしいものになった今、言うに言えない事情があるのではないかと思わざるをえない。

【山下 康太】


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