中国・広州に、家具メーカーからスタートし、いまや世界の国々にパソコン用3Dソフトウェアを提供している、「YF・CAD」という会社がある。1994年からスタートしたというこの会社、家具設計からインテリアまで室内のデザインを3Dで手軽にシミュレーションできるソフトウェアを開発し、多くの人々から賛同を得ている。
それもそのはず、中国では、住宅の分譲はスケルトン(未内装)の状態で販売されるのが一般的で、内装は施主まかせ、そのため、内装を事前に3D化できるソフトは内装業者にとっては営業上の強力な武器となったのだ。その後、世界各国でも同様に、このソフトは高く評価され、いまや80カ国以上の建築会社が利用しているという。
しかし、日本においては前出ソフトウェアは普及していなかった。というのは、日本の分譲マンションや住宅は、販売時にほとんど内装も決められていて、家具を含めた内装の空間デザインの発想に乏しかったからだ。ましてや、「CAD(設計)ソフトと連動していないオモチャみたいな中国製のソフトなど使えるか」という、日本人特有のキメ細かなプロ意識があったからなのだろう。
最近になって、このYF・CAD社が開発した内装用3Dソフトを日本人向けにカスタマイズし、建築会社の営業マンに好評を博している会社が福岡にある。福岡市博多区に本社を置く「安心計画」という会社だ。同社は、営業マンがソフトの使い方に困ったときいつでも対応してくれる。また、この安心計画が販売する「マイシーンデザイナー」というソフトは、壁紙や床材の色だけでなく建材メーカーのホームページから製品をマウスでドラッグするだけで貼付け、3D表示できるという優れモノ。建築の営業マンが建築に不慣れでも、完成イメージを顧客にパソコンひとつで説明できる。
日本の建築文化ではなかなか受け入れられなかった、この中国発3次元の室内提案ツール、発売後大好評で、すでに1,000社にもおよぶ企業が採用しているという。
【杉本 尚丈】
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