福岡市立こども病院および青果市場のアイランドシティ(人工島)移転をめぐり、また新たな問題が発生した。両事業を請け負う業者の選定に関して問題視する声があがっているのである。
まず、こども病院は、公共施設の建設から維持管理・運営までを民間に任せるPFI(Private Finance Initiative)事業として、代表企業・日本管財(株)(本社:兵庫県西宮市、福田慎太郎社長)以下、構成員として(株)九電工、戸田建設(株)九州支店、協力企業5社からなるグループが落札。応募は同グループのみであった。
この落札に関して、あるベテラン市議からは「高島市長は飯塚のほうばかりを見ている」との声も...。これは、日本管財が麻生太郎元首相の肝いり企業であることを皮肉ったものだ。要らぬ詮索かもしれないが、麻生太郎氏の熱烈な応援もあって当選した高島宗一郎市長だけに、そう見られてもおかしくはないだろう。
また、新しいこども病院の維持管理を日本管財が行なうことに疑問の声もあがっている。10月5日、福岡市の市民団体「博多湾会議」(荒木龍昇・脇義重共同代表、荒木氏は福岡市議)は、入札のやり直しを求めて、高島市長あてに申し入れ書を提出。同団体は、日本管財が指定管理者の一員である福岡市南区および博多区の市民プールにおいて、水質検査の不備があることを指摘されていることから、病院事業を任せるものとして不適格としている。
この日本管財の不備を問題視する声は、ほかの福岡市議からもあがっており、そのことも含めて落札のプロセスを訝しがる見方は多い。
一方、青果市場に関しては、明文化されていない慣例に基づいて、市農林水産局の新青果市場担当が入札業務を実施。こども病院の現地建て替え費用を約85億円で見積もり、同病因移転計画の混乱を招いたと言える(株)梓設計(本社:東京都品川区、杉谷文彦社長)が、契約金5,000万円で落札した。
根拠のない入札そのものの有効性に疑問符がついたこと、さらには現場(新青果市場担当)に任せた結果が、まだ記憶に新しい『いわくつきの会社』であること、そして財政局契約課が入札業務を担当していないからという理解不能な理由により『入札結果が公表されていないこと』などから、さまざまな憶測が飛び交っている。
2つの移転計画は、市民の反対を押し切るかたちでなんとか移転にこぎつけたようなものだが、いざ、計画が本格的にスタートしようとした矢先、新たな疑惑が浮上した。とくにこども病院の移転においては、そもそも「プロセスが不透明」として、「こども病院移転計画調査委員会」(委員長:北川正恭早稲田大学院教授)で再検証が行なわれたのではなかったのか。
自ら禍を招いているとしか言いようのない実態を見る限り、本当にアイランドシティに移転をするつもりがあるのか、と疑いたくなってくる。
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