グリーンコープ(福岡市博多区、田中裕子代表理事)は、このたび「放射能測定室」を設置したことを発表した。
これは、従来から行っていた「放射能汚染食品測定室」(事務局:東京都千代田区、生活クラブ生協、大地を守る会の共同運営)での測定結果の公表に加え、グリーンコープ独自の機関により食品の汚染度合を測定していこうという試み。グリーンコープ連合の物流センター内に2台の測定器と人員を配置して、「放射能測定室」の運用を図る。これにより、セシウム134とセシウム137を対象に、年間1500前後の検体の検査が可能になるとしている。
放射線による食品汚染の度合いは目に見えないため、一部の子を持つ母親を中心に、健康に与える影響を心配する声は根強い。しかし、他方で、被災地への配慮もあって心配を口にしにくい状況もあり、これらが相まって疑心暗鬼を生んでいるようだ。
本来であれば、これら2つは全く別の問題であり、そのこと自体は誰の目にも明らかだろう。しかし、これらを意図的(?)に混同し、被災者の窮状を盾に放射能汚染に対する懸念の声を抑え込もうとする動きもみられる。そのような各機関の姿勢には疑問を呈さざるを得ないし、そういった姿勢自体が疑心暗鬼を生む土壌そのものになっていることを改めて認識し直す必要があろう。
今回のグリーンコープの取り組みは、こうした風潮に抗うものとして高く評価したい。こうした取り組みの結果、各食品の汚染度合が極めて低く健康への影響も皆無であることが判明すれば、福島周辺を産地とする食品への疑いも晴れるのではないだろうか。検査範囲の極大化と速やかな結果公表こそが、問題解決の唯一の手段となる。
ちなみに、グリーンコープ会報誌の『共生の時代』によると、8月19日~9月12日までに検査した関東・東北産の商品・原料36品目からは残留放射能は検出されていない。
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