＜建設業界は大スリム化＞
　弊社で『2011年福岡県ゼネコン70社』を作成した。そこで驚くべきことを発見した。ゼネコン70社の借入額が大幅に圧縮されているのだ。かつてはゼネコン業界では年商に対して半年分の借入をしているのが常識の時代が続いた。ところが今回、「ゼネコン70社」の総資本に対する借入率の平均が18.58％になっているのである。どの企業も近年、延命するために資産の軽減化を推進してきたのだ。

結果、スリムな体質に転換することに成功したのである。裏を返せば金融機関にとって厳しい事実を突きつけられたといえる。「ゼネコン業界が金を借りない。ならばどこか代替の借入・資金需要の活発な業界があるのか」との問いが発生する。答えは「なかなかありません、発見できません」というものしかない。

＜好対照的な２つのパーティ＞
　先達て新栄住宅（株）（本社：福岡市中央区大名）の社長交代の披露パーティが行なわれた。関係者250名が参加していた。参加者のなかにはかなりの金融機関の方々が出席していたのが特筆すべき点だ。とくに際立ったのはメインバンクの福岡銀行から谷頭取を筆頭に２人の副頭取も加わっていたことだ。表現を換えれば福銀本部中枢首脳３名が駆けつけたのである。「新栄住宅と福岡銀行の従来の関係からみれば自然な成り行きだ」と言える。

　しかし、さらにうがった見方をすれば「新栄住宅！！ありがとう。御社ほど安心してある程度のロットで融資できるところは稀有です。今後もよろしくお願いします」と、福銀側が感謝の念を示して三巨頭が勢ぞろいしたという見方も成立する。福岡には煌めく企業が数多くあるが、あまり借入をしてくれない（自己資金で廻す）という背景のなかで金融機関にとって新栄住宅は『感謝すべき（金融機関側から）』貸出先なのだ。

　10月２日にはヒルトン福岡シーホークホテルで650名が参集した大宴会が開催された。最後の極めつけは小倉佳氏のコンサートまで行なわれたのである。パーティは終了まで５時間30分かかったが、参加者はすべて満足した顔で帰途についた。この会とは（株）アキラ水産（本社：福岡市中央区）の代表取締役・安部泰宏氏の旭日双光章受章記念祝賀会である。発起人だけでも35名におよんだ。水産業界の団体役員だけでなく麻生太郎元総理大臣、小川洋福岡県知事、高島宗一郎福岡市長、河部浩幸福岡商工会議所会頭と各方面のお歴々が名を連ねていた。

　また、出席者のメンバーは安部氏の若い時代のＪＣ仲間に始まって商工会議所、ロータリークラブ、奥さんのライオンズクラブの付き合いと多面に渡っており、県会議員、市会議員も数多く列席していた。驚くべきは福岡ソフトバンクホークス（株）の王貞治会長も顔を見せ乾杯の音頭を取ったことである。安部氏のケタ外れと言える顔の広さには圧倒されてしまったのは筆者ばかりではない。参加者全員同じであっただろう。

　そのようななか、あることに察知したのである。「あーれ！！誰もいない。銀行関係者の顔が見えない」ことに気づいたのだ。金融機関のＯＢの出席者もいたが、これは安部社長との個人的な関係である。要はアキラ水産の経営＝資金繰りにおいて金融機関にペコペコする必要がないということである。こういう晴れ舞台には必ず金融機関の方々が中心部を占める。10月２日の大祝賀会にはその傾向がまったく見えなかった。「銀行さんもまともな融資先を開拓するのは容易なことではないのだ」ということをあらためて認識した。

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