福岡に対する熱い想いや、政治に関する志を抱いて、昨年(2010年)、アナウンサーから政治の世界に飛び込んで来られた高島市長であるが、約10カ月が経過した現在、その初志はどうであろうか?
一方では、毎日、父親のほどの年配の市職員に取り囲まれ、市長がいくら斬新な提案をしても、できない理由ばかりを並べ立てられて一向に前に進まない。他方では、支援を受けた政治勢力は、宗教系の勢力を除いて、旧態依然とした昔ながらの利益誘導型政治手法から脱皮できずに、およそ「市政改革」とはほど遠い存在である。
さらには、改革の強力な推進力として頼みにしていた山崎副市長は、財政局長時代とは別人のように、すっかり牙を抜かれて、理念よりも旧態依然とした政治勢力の意向ばかりを気にしており、「山崎副市長が改革を推進し、起こったハレーションは生え抜きで調整型の渡辺副市長が抑えていく」という理想の役割分担も、今は夢のように消失してしまっている。
さぞかし高島市長は、戸惑い、苦悩していることだと同情の念を禁じ得ない。
市役所内部においては、改革派市職員にもその失望感が漂い始めているようである。若い市長の斬新な発想による、強いリーダーシップへの期待が大きかったがゆえに、その落胆も大きくなるのが必然であろう。また、それだけでなく、課長級以上の職員からも、モチベーションがあがらないとの嘆きの声が聞こえてくる始末である。
2万人の請願署名を廃棄したり、定められた手続きも取らずに有給休暇を取ってみたり、昨今の市職員の不祥事の例を見ても、モチベーションが上がらずに弛緩してしまっている市職員の姿が見て取れる。
高島市長!ここが正念場である!
トップは孤独な戦いを強いられる。
一部の後ろ向きな市職員や旧態依然とした政治勢力から、いかに嫌われようとも、今こそご自分の信念を貫くために、強い姿勢を示すべきである。
先般、亡くなられたApple社・創設者の故スティーブ・ジョブズ氏は、次のように私たちを鼓舞してくれている。
本当に政治・行政の世界というのは、まともな神経の持ち主であればあるほど、「理想と現実」の狭間で苦悩するものである。
しかし、高島市長!どんなに苦しくともご自分の政治理念を貫くべきである!
福岡市民のために命を懸ける姿を見れば、たとえ旧態依然とした政治勢力から見放されても、148万人の福岡市民は、必ずやあなたを支えるであろう。
【福岡 志於美】
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