福島第一原発事故がいまだ収束に至らないなか、『原発安全神話』への不信感は九州でも高まり、原発マネーをめぐる政界との関わりが次々に明るみになった。昨今、NET-IBに対しても、九電の発注工事などに携わった業者に関する問い合わせが急増。そのうちの1社が福岡市中央区に本社を構える(株)キューコーである。
同社は、1989年10月創業、92年6月に法人化された業者。初代の代表取締役社長に松尾博士氏が就任。98年12月に代表取締役社長の交代があり、松尾博士氏から松尾美代子氏が代表社長に就任した。同社の取締役は、そのほかに1名の非常勤役員が名を連ねており、株式を松尾博士氏が100%保有する、いわゆる同族企業である。この松尾博士氏は、九電会長の松尾新吾氏のいとこの子にあたると言われており、代表を退いても実質的に松尾博士氏が采配をとっているとされ、同社設立から九電関連の工事を多数請け負っている。
99年6月、同社は佐世保市内に長崎支店を設置、九州地区の九電関連の発電所工事を得意とする東証一部上場企業などから発電所プラントの定期点検、補修などのメンテナンス業や電気工事に携わっていた。現在ではこの上場企業からの仕事関連の話は聞かれなかったが、2006年から08年6月期まで、売上高は3億円から5億円を推移していた。
しかし、09年6月期では受注が低迷、売上高は1億158万円に急落。資産背景の薄さや収益面の低迷も重なって債務超過となった。同年11月には、長崎支店は建設工事の請負契約を締結していないとして建設業許可を大臣から知事に変更。事業規模の縮小が顕著となっていた。
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