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青木道生の企業経営戦略講座2-2 : 銀行員の財務分析ポイント ~毎週水曜更新~
企業経営戦略講座
2011年10月12日 07:00

青木氏の実績と評価は非常に高く、多くの支持を集めている。 支援結果はこちら→

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 一般的な財務分析本を購入すれば、様々な財務分析の手法や計算式が記載されている。一方で、銀行員が日常的に行なっている財務分析の基本は、「債権回収の可能性」という主眼が中心であり、一般の財務分析本などでは語られていない内容も多い。

 まず、「経常運転資金」という概念がある(「正常な運転資金」という表現もあるが、ここでの詳論を省く)。これは、当該企業のB/S上の「(受取手形+売掛金+棚卸資産)-(支払手形+買掛金)」により算出されるものである。ここで算出された理論値は、当該企業の「入出金サイトのズレ」、いわゆる「収支ズレ」と判断され、「短期借入金」(手形貸付、当座貸越など)により融資を受けることが、一般的である。算出された理論値以上に、B/S上の短期借入金が多い場合、短期借入金を借り過ぎている、という判断をされてしまう。

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 加えて、「債務償還年数」という考え方がある。B/S上の短期及び長期借入金の合計より、上記計算式により算出された、経常運転資金の金額を、控除する。併せて、代表者や親族などからの借入金も、実質的には財務分析上、「返済義務のない借入金」と見做し、控除しても差し支えない。

経常運転資金見合いの借入金は、あくまで「収支ズレ」により生じた資金需要を、短期借入金により一時的に(スポット的に)補うことがその主旨であり、売上などによる「入金」により、「決済」されるものである。換言すれば、「利益」により、「返済」されるものではない。

 短期及び長期借入金の合計より、経常運転資金及び代表者勘定を控除した金額こそ、利益により返済されるべき借入金の合計である。これを「収益弁済見合い借入金」といい、「収益弁済見合い借入金」が、当該企業の利益(収益力)によって、何年で返済することができるのか、という財務分析上の見方は、極めて重要視される。

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 ここで、「利益」という考え方について論じると、P/L上の「当期純利益」は、あくまで売上高から経費を差っ引いた残額であり、「現預金」が増加した純額とイコールにはならない。限りなく、返済を行なえる財源(返済財源・返済原資という)とニアリーイコールにするためには、P/L上の経費内に含まれる、現預金の流出を伴わない経費を加える必要がある。それが「減価償却費」であり、当期純利益に減価償却費を加えた利益のことを、「償却前利益」という。これを、簡便的な「営業CF(キャッシュフロー)」と換言しても、差し支えない。

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 更に、特別利益や特別損失内に、前期繰越修正益や損、また貸倒引当金繰入や繰戻、固定資産売却益や売却損などが内包されていれば、それらは実際にキャッシュが動いた損益ではないため、各々、償却前利益より加除を行なう。

 上記算式により算出された「返済原資」により、「収益弁済見合い借入金」を除することにより、「収益弁済見合い借入金を、現在の収益レベルで、何年で返済されるか」という数値(年数)が算出される。

 あくまで参考値ではあるが、10年以内であれば優良、10年超15年以内で普通、15年超20年以内で要注意、20年超30年以内で警戒レベル、30年超で要警戒レベルと考えたほうが良い。

これら債務償還年数に加え、流動比率や自己資本比率などにもより、格付値及び債務者区分は、システム上自動的に算出された値から、人間(銀行員)の手により、上位または下位に遷移されるケースがあることを、忘れてはならない。

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