<全国でも輸出比率の高い古紙>
早くからリサイクルの優等生と評価されてきた「古紙」。現在では紙の原料の約60%が古紙で賄われている。最大のメリットはその事業性だ。「紙」利便性が高く基本的に水に溶かして不純物を省く」ことで再生される。品質や種類によっては非再生紙より低コストでの製造が可能なことから再生紙はビジネスとしての収益性に優れる。成長の背景には中国を始めとした海外需要の増加がある。90年代後半以降飛躍的に加速した古紙の輸出量はリーマンショック後に一時停滞したが、すぐに勢いを取り戻した。「製品の収納用としての段ボール箱などの需要は極めて大きい」と、日本紙料(有)代表取締役・有光惇一郎氏は指摘する。「とくに日本製は選別な丁寧で品質が安定していることから原料としての古紙の人気は高い」(同氏)。紙原料業界が回収した古紙の約20%が今では海外に輸出されていると見られる。九州地区は地理的優位性もあり「他地区よりも10%程度は輸出比率が高いのではないか」と見る。
事業としてのリサイクル率の高さはゴミの削減につながっている。回収された古紙からインクなどの不純物やロスを除いた90%以上が再生紙の原料となる。
<ISO取得で地域の環境保全に取り組む>
日本紙料は1950年に創業した。大手製紙メーカーの直納業者として業容を拡大。1967年に法人化。その後も納入先を拡大する一方で大手スーパーなどからの回収業務を手掛けるようになった。2008年3月に環境マネジメントシステム I SO14000を取得した。近年は同社のノウハウに取引先も着目ゴミ削減に協力している。現在は、百貨店やホテル、青果市場、新聞社、学校など官民問わずあらゆる施設から回収業務を手掛けている。
インターネットの普及などにより紙原料業界は岐路に立っている。世代が下がるほどに紙ベースでの新聞購読者へ減少している。ウェブ小説・漫画などの台頭も著しい。不要な紙を減らすことは不可欠な世相となった。一方で「軽くて丈夫」「折り曲げやすい」といった紙の優位性にも再び光が当たろうとしている。だからこそ「再生率の高い古紙はますます重要になる」。グループ企業『(有)アンツ(有)黒瀬産業(有)博南開発(有)山尾産業(有)』一丸となり時代の変化に対応しようとしている。環境社会が加速するなかで365日無休の回収体制をとる一方で I SOの取得など透明度を上げてきた同社の重要度が高まっている。
<COMPANY INFORMATION>
■日本紙料(有)
代表:有光淳一郎
所在地:福岡市博多区吉塚6-6-43
設立:1967年
資本金:1,000万円
グループ企業:(有)アンツ(有)黒瀬産業(有)博南開発(有)山尾産業
TEL:092-611-0679、092-611-0691
URL:http://www.nihonshiryo.com
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら