屋台の営業時間に関する問題の指導について詳述する。
指導を受けた屋台が、「福岡市屋台指導要綱」に定められた営業時間(午後6時~午前4時)を守らず、午後6時前から準備を始めていたことは確かであった。しかし、すぐ近くにある数軒の屋台も同様であり、そのことは午後6時前に現地を訪れると、ひと目でわかる。営業時間違反について、市職員が指導にきたのは午後8時過ぎであったという。当然ながら、その頃には違反の事実は確認できない。
道路上で営業する屋台を監督する福岡市道路下水道局管理部路政課を取材したところ、屋台に関する苦情や通報があった場合、それを優先するが、「事実確認を行なったうえで指導にあたることが基本」という認識を示した。当たり前の話であるが、証拠もなく違反としていたら、『冤罪』と言える違反行為が、たとえば、いやがらせによって次々に量産されてしまう。そもそも指導を受ける側がしらを切れば、それ以上、指導できない。
問題の指導を行なった博多区役所の地域整備部維持管理課の原田英雄主査を問い質したところ、違反の事実を確認せずに指導を行なったことを認めた。また、指導の際、本庁(福岡市役所)の路政課職員2名も同行していたという。「3人よれば文殊の知恵」というが、市職員が3名集まっても、この指導の問題性について誰も気づかなかったということだ。
考えたくもないが、まさか、市職員のなかに「士農工商」のような意識があり、役人が威圧すれば何でも思い通りになると思っているのだろうか。
一方、今回のケースは、あまりにも客観的に理解し難く、市民の間では「何か、えこひいきする特別な理由があるのではないか?」といった憶測まで飛び交っている。高島市長の知らないところで、それも市職員の手で、「屋台」に関する市の取り組みがいかがわしいものにされようとしているのである。
つい先日、福岡市では議会事務局で、継続審議中の請願署名が誤廃棄されるという不祥事が起きたばかり。今回の問題も市職員の怠慢としか言いようがない。『怠慢』ほど理由にならない理由はない。夢を語ることも必要だが、約1万名の市職員のリーダーとして、現場の実態を把握しておくことも仕事の内。身内から足を引っ張られることが続かないように、くれぐれもご用心を!
(了)
【山下 康太】
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