9月下旬、今年のコメの作況指数が発表された。国内有数のコメの生産地であり、震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県は101から103の「やや良」であった。ほぼ稲刈りを終えたこの時期、原発事故の影響で東北地方のコメ生産者たちからは売れ行きを心配する声が出るなか、消費者側からも放射性物質を心配する声は止まない。北九州市に住む40代女性は、「被災地支援のために東北のコメを購入したいが、安全性を無視することはできない」と語る。
ウランの濃縮や原発から出る使用済燃料の再処理を行なう日本原燃(株)(本社:青森県上北郡六ヶ所村)のHPでは、「放射線について」として以下のように説明されている。
「放射性物質にはさまざまな種類があり、放射性物質によって、放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、単に放射性物質の量が多いからといって、それだけで人体に与える影響が大きくなるとは限りません。放射性物質による人体への影響は、放射性物質の種類や放射線の種類、エネルギーの大きさを考慮した『シーベルト』という単位で表されます。一方、放射性物質の量を表す単位は『ベクレル』であり、この数値を単純に比較しても、人体への影響度合いを比較したことにはなりません。」
ちなみに、ベクレル(Bq)とは 放射性物質が放射線を出す能力(放射性物質の量)を表す単位であり、シーベルト(Sv)とは 人体が放射線を受けた時の影響を表す単位である。
ある有識者は福島産の新米を購入することに警鐘を鳴らしている。その理由は、「ベクレル表示をせずに販売するから」だとしている。国の暫定基準である500ベクレルとは、1年間に5ミリシーベルト程度の被曝であり、ギリギリではあるが労災適用内である。「ベクレル表示をすること」が決まれば、安心して福島産の新米を購入することができるという。
一部の生産者などには、独自に野菜などにベクレル表示をしていることもある。安全なものを買わないのであれば風評被害の類であろうが、安全かどうかわからないものは敬遠されてもおかしくはない。行政の責任で、ベクレル表示をするべきなのではないだろうか。
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