都市部では、電線や通信ケーブル、都市ガス、水道管などのライフラインを地下の「共同溝」に収め、集約化が図られている。とくに電線、通信ケーブルなどにおいては、地下に埋設することによって都市景観の向上にも効果を発揮する。土木工事分野に分類されながら、電気、通信の埋設管の工事に特化してきた、(株)原通信建設の代表の原雅彦氏に話を聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)
<専門業に特化した事業展開>
―御社は共同溝で管を埋設する専業を手がけられていますが、これは一般の土木工事で受注できるのですか。
原 できます。しかし、少し前までは一般土木工事の方が埋設工事を受注したとしても、「管の埋設工事などの仕事は、受注してもしない」と弊社などの外注に回していたのが業界の通例でした。それが、今では様相が変化して土木工事が減少してきた影響で、直営の業者が「(埋設工事を)どんなに工事するのか、教えてくれ」と言ってくるような時代になりました。一般土木だけでは、仕事のやり繰りができなくなってきたようです。
そのため、以前と違ってライバル会社は多くなってきました。一時期は、福岡市発注の埋設工事の半分くらいを弊社が手がけさせていただいていた時期もあったのですが...。
―ほかの専門業者が、方向転換してこの分野に入りこんできたのですか。
原 はい、多くなってきました。ですが、品質面では弊社が1番だと自負しています。弊社は創業当時から通信関連の工事―NTT、九電関連の工事を手がけてきましたので、各社が指定する工事規格をよくわかっています。弊社では指定された方法を行ない、規格を合わせるノウハウを身に着けていますが、一般土木工事業から転身した最近手がけ出したばかりの方々には厳しいと思います。
たとえば、細かい仕様や特別な施工などの要領を得ておらず、「ただ管をつなげばいい」というようなところがあって、品質は気にされていないのが残念です。後から他社が施工した場所に入って管の状況を見てみると、「なぜ、このような仕事内容で役所がOKを出したのか」と思うようなところもあります。それほど、実績を積み重ねてきた弊社と他社とでは、隔たりがあると思っています。
―先代が特化されていたことが、御社にとっては良かったわけですね。
原 昔から先代は電話関係を主体に、私は自治体管路と分かれて仕事を行なっており、設立当初から私がこの分野の工事に関わらせていただいたことが結果的に良かったと思います。試行錯誤も多々ありましたが、専門分野に特化して下請け工事で腕を磨けたことで、自分たちの存在感をアピールできたからです。そのおかげもあって、役所の監督関連の方や設計担当の方たちと仲良くなり、「管路の施工にはどうすればいいか」「地中化への意見を聞きたい」と、意見や指南などを求められるまでになりました。
(後) ≫
<COMPANY INFORMATION>
■(株)原通信建設
代 表:原 雅彦
所在地:福岡市南区野多目1-11-2
設 立:1977年9月
資本金:5,000万円
売上高:(11/5)8億4,299万円
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