「ここの高さに逃げてれば大丈夫だと言って、皆で20~30人そこで集まってて、そこに津波が来て飲み込まれた方々もいます。逆に、私の高校の同級生みたいに逃げなかったばかなやつもいます。彼は亡くなりましたけど。ばかなやつって、今、言ってもしょうがないんですけどね」。
18日、福島県二本松市で開催された参院民主党の研修会にて、平野達男復興担当相の発言である。この発言を巡り、各方面から批判が相次ぎ、平野復興担当相は同日夜に以下のように釈明した。
「同級生というのは高校のときの私の友人で、この間の同級会でもそういう話で、『あいつはばかだった。何で逃げなかったんだ』ということをちょっと言ったのですが、そのときの思いが今日のなかで出てしまいまして、冷静に客観的にしゃべらなくちゃならないところに個人的な思いが入ってしまいました。不快な思いをされた方については、心からお詫び申し上げます」。
「ばか」と言う言葉にはプラスとマイナスの両面がある。あくまでも推測の域ではあるが、今回の発言は友人に対するある種の愛情のようなものが感じられるし、決して罵倒する意味合いが込められているとは思えない。アップル社の創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、かつてスタンフォード大学の卒業式で若者達へ「stay hungry stay foolish」と発言した。この「foolish」をマイナスと捉える人はいないだろう。
いずれにせよ、政治家の発言には重い責任がともなう。とくに平野氏は松本大臣の後任であることも加味すれば、釈明が必要となるような発言は慎むべきである。他方、言葉尻をとり、ただ単に批判するだけでは能がないことは明白である。各方面でそれぞれ、改善すべきことは山積している。
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