<「品質良し」「挨拶良し」の精神>
―福岡地区では、まだ管路の地中化の仕事は残っているのですか。
原 国交省だけでも、約10年分の仕事が残っていると聞いています。国際線近くまでの工事分や千早地区の整備分がまだあるということで、一定量の工事は確保できそうです。ですが、福岡市はなかなか工事内容をはっきりしてくれませんから、「この路線を中心にやります」などと言っていただけると、営業的にも助かります。たとえ、土木工事の受注があっても、地中化するかどうかの道路改良の内容がよくわからないため苦労しています。
また、工事内容が判明しても、今は入札が抽選の場合がほとんどですから、札を落としたところには挨拶を兼ねて仕事の依頼をしています。
私たちの分類は一般土木工事業ですが、電線やケーブル線などの保護管を地中に埋設する作業を行なっています。ですが、電気工事の免許も要らず、縛りのない土木工事の免許さえ保有していれば何も問題はありません。埋設工事を1回でも経験すれば、施工工事業者として軽い気持ちで新規参入してきます。
ですから、競争が激しい現在、札を落としたところへ営業に行くと、同じような業態の工事業者3、4社が営業を行なっています。異業種からの参入で、競争が激しくなってきました。
―そのなかでも、御社は順調に業績を伸ばしているようですね。
原 昔は弊社の工事だけでいうと、2〜3億円ぐらいの規模でこと足りていました。その後、工事本数が増加したことで、社員数を増やしました。しかし、順調に受注ができ、販路の確立もでき始めた頃、大口の不良債権を抱えてしまいました。数年前の話です。運転資金に穴が開き、そのときは頭を抱えました。ですが、周囲の人たちが「この仕事をやってみないか」「仕事を振っておいたから」などと仕事を分けてくれ、暖かい手を差し伸べてくれました。あのときの感謝は忘れません。今思うと、児玉社長がおっしゃる通り、経営者には突然降ってくる経営難があり、対処しなければならない時期があるのでしょう。私も経営者として「脇が甘かったのでは」と、反省しきりです。
弊社がスローガンとしているのは、「品質良し」「挨拶良し」の2点です。社員にはそれだけを徹底的にお願いしています。現場でも、「とにかく挨拶しなさい」と言っています。それだけで好印象を与えますし、その後の営業もやりやすくなります。これに弊社が誇る品質が加われば、信頼にも厚みが増すでしょう。
<地域貢献をモットーに>
―御社は、地場に密着した地域貢献にも取り組まれていると聞きました。
原 土木工事業は、「都市整備」「インフラ整備」の役割を担っていると考えています。ですが、公共工事は談合などの悪いイメージを世間に与えてしまっています。そのため、公共工事に携わる人間は社会貢献活動などを積極的に行ない、アピールすべきではないかと考えています。
たとえば、今度受注した美野島地区の公共工事は1億円規模の工事ですが、地域貢献を考え、美野島小学校の児童に「光るバッジ」を配りたいと考えました。もちろんバッジには「社名」や「工事名」は入れず、公共事業に対するイメージアップと理解促進のために配りたいと同校の校長に相談したところ、約540名の生徒と教職員に配っていただくことが決まりました。公共工事に対するイメージアップに貢献できたのでは、と思っています。
そのほか、同地区で飲酒運転の撲滅キャンペーンが行なわれると聞き、こちらも手伝ってきました。これからも、地域に良いようなことをやっている業者がいましたらその真似をして、どんどんアピールを行なっていきたいと考えています。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)原通信建設
代 表:原 雅彦
所在地:福岡市南区野多目1-11-2
設 立:1977年9月
資本金:5,000万円
売上高:(11/5)8億4,299万円
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