20日、福岡県筑後地区では最も古い日本酒の蔵元である(資)若竹屋酒造場14代目社長の林田浩暢氏の講演が、福岡県中小企業同友会の青年支部10月例会で行われた。
同氏は、27歳のときに「日本一の会社にしよう」と東京から戻り、家業である若竹屋酒造場に入社。その後、10期連続の赤字経営で債務超過に苦しんでいた同社の後継者として、待ったなしの経営改革に取り組み、会社を健全化させた成功体験を来場者に熱く語った。
昔気質で先代社長である父親との確執や、巨額の借入金に対する連帯保証の話まで、規制緩和や需要縮小という逆境のもとで極限まで悪化していた経営状態を林田氏は赤裸々に告白。そのうえで、会社の利益は余剰金ではなく「未来存続費用」であることを説き、財務に裏付けられた組織変革の実行プロセスとその具体的な手法を、集まった217名の青年経営者らの前で披露した。
若竹屋には家訓に「若竹屋は先祖より受け継ぎし商いにあらず、子孫より預かりしものなり」とあり、周囲の自然環境や技術、商いのあり方や地域とのつながりは総て「自然な、正しい姿」で次世代へと還してゆくもの、という哲学が伝えられる。戦後の経済拡大期に誕生した多くの中小企業にとって、創業300年超の同社の営みに学ぶべき点は多い。事業承継に悩む中小企業経営者には、林田氏の講演を聴かれることをぜひお勧めしたい。
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若竹屋酒造場の「一献一会」
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