10月に入ってだいぶ涼しくなり、夜の飲み歩きも一段と楽しくなってきた。最近のお気に入りは、中洲交番近くの中華料理店で売っている「しゅうまい」。ここだけの話、卸元は、60年近くの歴史を持つ「だるま食品」さんの「博多しゅうまい」。もともと、有名なだるまさんの「博多餃子」のファン(工場直売店あり)であった小生は、同社二代目のアイディアで作り始めた「しゅうまい」にもすぐにハマってしまった。中洲で売っているところがあると聞きつけ、もっぱらお土産用に買っているのである。
さて今回、小生が向かったのは、福岡中洲・熊本中央街・長崎思案橋で計8店舗のキャバクラを経営するMLHグループのイベント。以前、紹介した同グループのNO.1に輝いた長崎「月の雫」のルナさんが、移転リニューアルした中洲「月下美人」にやってくるというのだ。
浜辺で会ったときに長崎へ飲みに行くと調子のいいことを言ってしまってから半年。その約束をいまだ達成できていない小生であったが、彼女が来るとなれば、会いに行かざるをえない。そこに、NO.1たる所以があるのである。
小生、8月に初めて会うまでお店では1度も顔を会わせたこともなく、つまりは彼女の『客』ではなかった。しかしながら、それ以降、こまめにメールが送られてくるのである。もちろん、要約すると「店に来い!」という営業メールではなく、日々の出来事が日記調につづられた写真付きのメールである。それも一斉送信と思いきや、時折、小生に関するネタもはさんでくる。
当然ながら、ほかのお客さんにも同等以上のことをやっているのだろうから、その姿勢には舌を巻いていた。自然と「飲みに行かなくてはならない」と思わざるをえなくなっているのである。それで「さすがですね!」と、ルナさんをほめてみたところ、「中洲はかわいい女の子が多くて競争が激しいですから...」というように謙虚な姿勢を崩さない。
中洲の人気娘やカリスマ・ママは皆、客に貸しを作るのが上手い。最近はメールが増えたが、直筆の手紙、旅行に行ったときはお土産物を用意する。土産は店におかず、手紙を添えて宅配するのがポイント。ささやかな品物でも、もらって嬉しくないことはない。さりげなく「店に行かんと申し訳ない」といった気持ち(お金のほうの貸しがたまると、行きづらくなるが...)にさせるのである。いわば、オンリー・ワンの接客がどれくらいできるかで、ナンバー・ワンとなれるかどうかが決まってくるのだ。
と、餃子に比べて九州ではメジャーではない、中洲でオンリー・ワンの「しゅうまい」を手にした帰り道に思ったわけである。
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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