(前回からの続き)
中国、韓国をはじめ日本企業も進出を始めているカンボジアだが、とくに注目すべきはこれから紹介する『4つの特長』にあると言える。(前編で「1.労働人口の拡大と安価な労働力」を紹介)
<2.インフラ整備の発展(電気、道路、インターネット)>
カンボジアでは、国の発展にかかせない道路、電気、インターネットなどのインフラが、中国や韓国の投資により急速に進んでいる。
道路については、シングルナンバーの国道はすべて整備され、都市間の輸送時間は大幅に短縮されるようになった。また、ベトナムのホーチミンからカンボジアの首都プノンペン、そしてタイのバンコクという巨大都市をつなぐ全長約1,000kmの南部経済回廊が整備されたことで、各国間の輸送がこれまで以上に増加すると見込まれている。
電気についても、首都プノンペンはもちろん、地方都市のバッタンバンなども水力発電が開始される予定で、各都市への電力供給拡大が進められている。インターネットについては、2009年に光ファイバーが国道に沿って開通しており、都市部や国道沿いを中心にインターネット環境が整っている。NTTコミュニケーションズは、首都プノンペンの企業向けに、高速インターネットサービスを2011年3月より開始した。
<3.投資優遇>
投資優遇については、経済特別区が約20以上もあり国内企業だけでなく海外企業も差別なく税制上の優遇を受けることができるため、日本企業を含む海外企業の進出促進につながっている。プノンペンにある経済特別区である工業団地では、ヤマハ、ミネビア、味の素などすでに11社の日本企業がリース契約を完了しており、300名~800名規模での生産を行なう工場としてすでに準備を開始している。
★ カンボジアにおける経済特別区とは
経済特別区(SEZ)とは、経済発展のために法的、行政的に特別な地位を与えられている地域を指す。カンボジアでは2005 年に経済特別区制度が導入された。SEZ 進出企業は適格投資案件(QIP※)に与えられる通常の優遇措置に加え、すべての業種において付加価値税(VAT)が免除される。
※ QIP:Qualified Investment Project、適格投資プロジェクト
現在、カンボジア国内で認可を受けているSEZ は21カ所。その所在地は、プノンペンを除くとそのほとんどが沿岸部もしくはタイ、ベトナムとの国境付近に位置している。国境付近に位置することのメリットとしては、カンボジア側から見た場合にはタイのレムチャバン港、ベトナムのサイゴン港域などへのアクセスがしやすいことや、電力供給などにおいて自国より進んだタイ、ベトナムのインフラを利用することが可能であること、一方タイやベトナム側から見た場合には、自国の隣接地で安価な労働力を手に入れることができること、などが挙げられる。
<4.民政による政治・社会の安定>
カンボジアは、1998年の第一次フン・セン新政権発足にともなう政治の安定化や99年のASEAN加盟を機に、国際機関や二国間の支援に基づき本格的な国家再建に着手している。また、2000年に入ってからの、(1)縫製業の輸出が大幅に伸長、(2)堅調な観光業、(3)良好な農業生産、(4)建設業の活況(住宅、ホテル、工場など)、(5)外国投資や市中銀行からの貸出の急速な進展など複数の要因にともない、04年から07年までは二桁成長を続けるなど、GDP成長率の高さも世界から注目されている。09年は、世界同時不況の影響で、この10年で初めてマイナス成長となったが、縫製品の輸出増加や観光、銀行セクター、農業分野の成長により10年は再び6%の成長に回復、11年も6%以上の成長が予測されている。
以上、安価な労働力と労働人口の拡大、インフラ整備の発展、投資優遇、そして政治・社会の安定。この4つが、海外展開を検討する日本企業にとってのカンボジアの魅力と言える。
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