2011年4月10日、福岡市議会選挙が行なわれ、第70代福岡市議会議長に森英鷹氏が就任した。市議会議長としての務めや昨今問題となっている入札制度、さらには議員の海外視察の是非など、さまざまなテーマについて話を聞いた。
<入札制度の問題点>
―次に、入札制度についておうかがいします。現在のくじ引きのようなかたちで行なわれている入札制度では、企業努力が図れないのではないでしょうか。
森 こういった制度も、もともとは「談合などがあってはいけないので、できるだけ公募を行なったうえでの競争にしてほしい」「予定価格は企業努力のなかで算出するものだが、その情報が漏れたりする」というような意見から始まっており、それではいけないということで、現在のような公募で予定価格を提示したうえで、「その範囲内でできるだけ安く抑えてください」というようなシステムになっています。しかし、現行のシステムでは、極端な話「1円で落札する」というような事例も実際に起こっています。そのため、「最低価格を設定しなければならない」というような話になるのですが、今度は「その最低価格の額は、いくらに設定すべきなのか」という問題が出てきます。
このように、この制度については良かれと思って少しずつ改善していっても、それでまた新たな問題が浮上してきます。そのため、少しずつでも改善を続けていく必要があるのではないかと思っています。
また、入札制度に絡んでの企業努力は、当然ながらしていってほしいのですが、現実的にはそれだけでは足りないほどの企業間の力の差が存在します。実績を重視するあまりに力の強い企業ばかりを取っていくと、力の弱い企業はなかなか育ちません。そのため、力の弱い企業に対して、「このような分野の力を付けてもらうために、こういった勉強を推奨しよう」「下請けで勉強していただこう」などといった技術的な向上が期待できるような方策を講じていかなければ、福岡市の業者が育っていかないと思います。まずは、そういった力の弱い企業を、何とかして育てていく方法を考えていかなければならないでしょう。
また、とくに私がよく言うことですが、公募をかける際には地場産業が参加できないような条件を設定してはいけないのです。何より、まずは参加できることが重要です。もし、仮に技術力が劣っていて取れなかったとしても、参加することによって技術力の向上も望めるのではないでしょうか。このように、ちょっとしたシステム改善が必要だと思います。
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