ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

企業経営戦略講座

青木道生の企業経営戦略講座2-4 : 財務内容の良化に向けたアドバイス ~毎週水曜更新~
企業経営戦略講座
2011年10月26日 07:00

青木氏の実績と評価は非常に高く、多くの支持を集めている。支援結果はこちら→

profile.jpg

entry_title_vol.2.jpg


 金融機関に提出した決算書類を、自社が知らないところで勝手に分析され、格付値や債務者区分が付与され、それにより今後の与信(融資)スタンスが決められてしまうことを回避するためには、決算書類の提出と共に、「レポート」を添付することを推奨する。

 まれに、決算書内に「営業報告書」が添付されているケースが散見されるが、金融機関が知りたい情報は、「サブプライムローン・リーマンショックの影響により、当社も例外なく売上が落ち込み・・・」といった、抽象的な内容ではない。最も効果的な手法は、B/SとP/Lを3期分ほどエクセルなどで並べ、各科目の数値の増減を、疎明(説明)する方法である。

 決算基準日(月末)が、平日であったのか、休日であったのかだけでも、売上債権や買入債務の計上額は、前年対比で大きな乖離が生ずるはずである。また、前期と比較して、流動資産内の「短期貸付金」(代表者や親族、関連会社などに対する貸付金)が同額であったり、増加している場合、通常であれば、それらは返済見込みのない「不良資産」として認定されるケースが多い。一方で、決算期間(1年間)における短期貸付金の推移を、エクセルなどで月次ベースにて羅列できれば、毎月、定額の返済を(会社が)受けているにもかかわらず、一過性の要因により、スポット的に短期貸付金が増加したというロジックも、成立可能である。

 有形固定資産における土地は、取得価額がそのまま、B/S上に計上されていることが多い。固定資産課税台帳のコピーなどを添付することにより、簿価を上回る含み益を有していることが、証明可能となるケースもある。保有している有価証券などの、決算日時点での株価を算出すれば、含み益が出ているケースも多く、実態的なB/Sを作成する上での、好材料となる。

銀行との信頼構築はこちら

 また、同レポート内において、せめて今期の予算は、策定しなければならない。「今期の予算」とは、「予想損益計算書」(以下、「予算P/L」という)のことをいう。せめて、前年度決算が作成されたならば、前年度決算のP/Lに対して、今期は売上高をどの程度を目標とするのか。売上高を達成させるためには、営業戦略などの各種戦略、企画などの施策、また人事上の(営業要員に対する)インセンティブの付与などの制度設計など、売上高を達成させるための相応の「論拠」(エビデンス)が必要となる。

 加えて、変動費をどのレベルで推移させるのか。仕入高のディスカウントや製造コストの削減は、どの程度可能で、粗利率は、前年対比で何ポイントほど、上昇されるのか。一般管理費においては、前年対比で増加が見込まれる経費とその理由、また削減可能な経費を示し、営業利益や経常利益を算出する。

 利益計画においては、年間の長期借入金の約定返済額を、P/L上の「償却前利益」が上回っていることが、必須である。年間の約定償還額を下回る、償却前利益を想定した計画は、利益計画そのものの妥当性を、疑われることとなる。

銀行との信頼構築はこちら

 このようにして、前年度決算の財務分析(特にB/Sにおける各科目・数値の疎明)と今期のP/L予想、そして予算P/L(売上・利益目標)を達成させるための「論拠に基づいた手段」を決算書に添付して、金融機関宛提出することを、基本とすべきである。

 本稿の「財務内容の良化に向けたアドバイス」というテーマで論じれば以上であるが、実務的にも、今期の予算P/Lさえも策定されていない企業の経営を、今後1年間、経営者はどのように舵取りしていくのか。策定された予算P/Lは、月次で試算表ベースにおいてその達成度合い、進捗を確認し、都度、是正を行なう。その分析と是正報告を、取引金融機関に対して毎月行なうことこそが、「銀行取引戦略」のひとつであり、「リレーションシップバンキング」の実現に向けた、第一歩なのである。


blog_banner.jpg


※記事へのご意見はこちら

企業経営戦略講座一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル