九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、枝野幸男経済産業相が同社の報告書や眞鍋利應社長の続投について批判しているなか、九州電力は24日、第三者委員会(委員長:郷原信郎弁護士)が指摘した古川康佐賀県知事の責任を盛り込まないまま報告書を微修正したことを明らかにした。
枝野経産相も、九州電力の実力者である松尾新吾会長の指示により、眞鍋社長が続投の方針打ち出したものと認識しており、眞鍋社長だけの辞任では済まない状況になってきている。
松尾会長は、「経産相発言の報道は知っているが、どこまでが個人の見解でどれが指示かあいまいな感じだ。監督官庁と企業は先生と生徒の関係。なすべきことを示してほしい」と指摘。また、「チャンスがあればじかに会い、何が問題なのか真意を聞きたいし、九電側の説明もしたい」と語っているが、今までの九電の一連の対応は、生徒が先生を挑発する図式である。
つまり、九経連の会長としてまた九州財界トップとしての「生徒」の自負が、弱腰の学校当局(民主党政権)の先生(枝野経産相)を甘く見たため、事態を泥沼化したと見られている。
仲間の電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)も、「やらせメール」問題について「国民の信頼を損ねた意味で極めて深刻に受け止めている」と述べ、また身内の九電幹部も「どうしようもないところまで追い込まれた」と、語っている。
それに呼応するように日本政策投資銀行は今月結ぶ予定だった九州電力向けの約1,000億円の融資契約をいったん見合わせている。最終的には融資は実行される見通しであるが、契約の延期は異例であり、政府系金融機関が枝野経産相の意を受けて圧力をかけてきたと受け止められている。
古川康佐賀県知事と九州電力の松尾会長・眞鍋社長の三位一体は、国民からも見放され、野田政権とも対峙することになった。まさに崩壊寸前で四面楚歌の状況にある。
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