<接収者に管理責任>
旧ソ連軍が接収した膨大な物資のうち、規格に合わない日本軍の武器弾薬、装備品、大半の備蓄物資などは毛沢東の共産党軍(八路軍)へ直接、あるいは蒋介石の国民党軍経由で、そして最後は、再開された国共内戦で共産側が勝利し中華人民共和国が建国されたことにともなって、接収された全軍需品および施設は中国人民解放軍(共産軍)によって継承された。
これが満州をふくむ全中国の軍需品の最終処分の実態である。日本としては毒ガス弾を含むすべての兵器が接収されたのであり、中国はその接収物を継承しており、継承の瞬間から国際法上も管理責任は中国側にある。そのため日本側は責任をとることができないし、またとるべきでない。遺棄化学兵器の管理責任が、中国政府にあることは歴史的経緯からして明らかなのである。
もし、この中国の論理を認めるならば、中国が継承した旧ソ連の接収物資から発生するあらゆる被害に対し、日本政府は永劫の未来まで、責任を負わされることになる。現在、日本政府は中国にある毒ガス兵器の発掘回収事業に協力しているが、あくまでこれは日本の好意によるものである。
<村山、河野両政治家の責任は重い>
村山富市首相と河野洋平外相は、平成11年(1999年)7月、どこの国のものかを問わず、中国に存在するすべての毒ガスと毒ガス弾を日本が発掘回収することを約束した。
これは遺棄と接収との違いが判らぬ無能な政治家が先頭に立って、日本の国益を大きく損なった典型的な例である。この愚行により日本の名誉は大きく損なわれ、負うべからざる負担を長く負うことになった。
なお、戦時中、日本軍が毒ガス弾を装備していたことも非難されるいわれはない。当時日本軍と対峙していた蒋介石・国民党軍は米英から、毛沢東・共産党軍は旧ソ連から供与された毒ガス弾を保持していた。日本軍が対抗上、研究開発し、保持していたのは当然のことであり、世界の常識だったのである。
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