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大川市・総務省ICT事業訴訟 官民の間に落とし穴?(1)
行政
2011年10月27日 10:54

 我が国の財政が逼迫しているなか、「ムダはカットすべき」と、一つひとつの事業のあり方が問われている。そのようななか、家具の産地として全国的に有名な大川市で、総務省の交付金事業に関連する契約トラブルが訴訟にまで発展した。
 交付金事業とは、総務省が2010年度にICTを活用した地域振興を目的として実施した「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」。全国で73件の事業が採択され、予算として40億円があてられた。大川市で採択されたのは「家具産地・大川市ネットマーケット事業」で交付金は2,200万円。10月24日、福岡地裁で、同事業のシステム構築業務に関わる損害賠償請求事件の第1回弁論が行なわれた。

<契約をめぐる争い>
福岡地方裁判所 訴状によると、原告・(株)パワーエクセレンス(佐賀市、西山大介代表、以下パワー社)は、被告・(財)大川総合インテリア産業振興センター(福岡県大川市、土井彌一郎理事長、以下センター)に対し、「家具産地・大川市ネットマーケット事業」のシステム構築業務で生じたとする損害2,300万円の賠償を求めている。
 パワー社は、11年2月28日、同業務に関して、1月分700万円の業務委託費の不払いおよびセンターに契約履行の意思がないとの判断から、契約解除をセンターに通告。損害は、業務委託契約が締結されたとする同年1月6日から、契約解除の通告がセンターに到達した同年3月1日までに生じたものとして計算している。

 一方、被告側は、業務委託契約そのものが成立していないなどとして全面的に争う構え。答弁書によると、センターは、当初、大川市が同事業を要望していたこと、1月28日まで総務省への申請書類作成やパワー社とのやり取りなどを大川市が進めていたこと、また、センターとパワー社が初めて顔を合わせたのは同年1月13日であったことなどをあげ、契約の不成立を訴えている。

 契約書に関しては、2月1日のセンターの理事会で同事業に関するパワー社の説明があった後、大川市からセンターの代表者に対して契約書2通に押印の上、パワー社へ交付するよう『指導があった』とし、センターはそれに従ったという。
その後、センターは、市と協議し、コンペを行なったうえで契約を結ぶことで話がまとまり、契約書の返還をパワー社へ求めたところ、2月7日、パワー社押印の契約書および請求書が送られてきたとしている。

 また、2月9日、センターの理事と大川市副市長が再度コンペによる委託業者の選定を行なう結論に至り、センターは同16日、パワー社に対し、電話説明の上で契約の破棄および再度コンペを行なう通知する旨のFAXを送信。その際、パワー社から抗議を受け、同17日に契約を保留する旨のFAXを送信した。
 ただし、答弁書には、契約が成立していないことを前提として、両FAXの「(契約の)破棄」と「保留」との言葉は「不正確」としている。(パワー社は送信前の電話による説明が不十分としている。)その後、センターは同18日、パワー社が業務を行なっていたかどうかを調査する目的で、同社事務所(佐賀市)を訪れたが、契約書1通を渡すよう求められ、これを渡したという。

 以上、裁判資料から原告(パワー社)と被告(センター)の間の業務委託契約に関する双方の主張について要約した。次回は、関係者などへの取材からトラブルの背景にあった官(大川市)と、民(センターおよび関係する地元業者など)のやり取り、そして、総務省の交付金事業への疑問を呈していく。

(つづく)
【山下 康太】

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