<市の対応がトラブルの火種か?>
NET-IBの取材に対し、原告・パワーエクセレンス(以下、パワー社)は大川市職員が窓口となって、総務省への申請書類の作成などを行なってきたと説明しており、事業に関するやり取りは2月まで被告・(財)大川総合インテリア産業振興センター(以下、センター)は直接的に関わっていなかったようだ。一方で、契約書上の契約締結日は1月6日、大川市からセンターへ契約書が届いたのは同24日前後とされており、センター側代表に市が契約書への押印を求めたのは2月1日。すでに事業(システム構築業務)は行なわれる計画となっており、市側がセンターへの説明などを怠っていた可能性は高い。
地元関係者によると、そもそもショッピングサイト事業は、当初、市の予算で行なわれる予定であり、総務省の交付金の話は後からついてきたもの。また、不透明な過程で市が業者を選定して話を進め、事業の主体となっていた(されていた?)センターに押し付けてきたことへの不満の声もあがっていたという。市とセンターに深い溝があったとすれば、パワー社は知らない内に、その溝へはまってしまったことになるだろう。
<交付金事業への疑問>
また、いかなる理由があるにせよ、国の交付金を受けた事業が、不測の事態で当初の予定に狂いが生じた場合、国は状況の把握はもちろんのこと、『期間の延長』といった措置を講ずる必要があるだろう。納税者に代わって血税を扱う以上、責任は大きい。取材を受けた総務省の担当者は、「契約のトラブルなどは珍しいことではない」といった態度をとっており、まるで他人事・無関心の姿勢には強い不快感を覚える。今回のように官(市)が現場で直接関わっていたのなら、なおさらだ。繰り返しになるが、総務省が行なった「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」では、全国73事業を対象に約40億円、そのうち大川市の事業には2,200万円があてられた。
大川市のケースでは、当初の作業工程の約3分の1(1カ月間)という短期間で事業が行なわれたが、総務省は10月24日に確認した時点で、その事実はもちろんのこと、訴訟が起きたという事実も把握していなかった(「報告がないからわからない」との説明)。結論から言えば、霞ヶ関の官僚が複数同時進行で行なわれている地方の事業をつぶさに把握できるはずがなく、出資者と言える国民にとって不透明なプロセスで血税が費消されている実情にあると言える。今の我が国の財政状況を考えれば、『血税は一銭でもムダなく使わせていただき、成果へつなげる気構え』が不可欠といっても過言ではない。
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