<九州電力との安全協定締結>
原子力安全委員会は10月20日、原子力発電所の事故に対して防災対策を重点的にとる地域の案を作業部会に提案。その中味は、原発から半径8~10km圏としてきた"防災対策を重点的に充実すべき地域"(EPZ)範囲を、半径30kmの"緊急防護措置計画範囲(UPZ)"に拡大。50km圏内を"放射性ヨウ素対策区域(PPZ)"とするという内容である。月形県議は「まだ決定ではないが、一歩前進した」という。
その後、10月4日、玄海原子力発電所4号機の原子炉が自動停止した。同21日に原因について「低圧タービン内に空気が流入したことにより復水器の真空が低下し、タービンが自動停止したものと判明」と、九州電力は発表。また、自動停止に至った原因については、運転中にも係わらず、過去の定期検査での作業を前例として、本来行なうべき制御ケーブルのコネクタ引き抜きによる他機器やプラント出力への影響評価が行なわれなかったことなどによるものとした。
自動停止が発生した4日当日、福岡県の小川知事は「本日午後4時5分、九州電力から、同社玄海原子力発電所4号機で復水器真空異常低により、午後1時40分にタービンが自動停止し、原子炉が自動停止したとの連絡があった。これは、本県と九電との申し合わせにより、本県に対して連絡がなされたものである。九電には早急に自動停止の原因を究明するとともに、安全性の確保に最大限の努力を払っていただきたい。また、原子力発電に県民の関心が高いなか、停止した原因・背景について、しっかりと県民へ説明してもらいたい」との声明を発表した。
この一連の九州電力の対応に対して月形県議は「正直、憤りを感じている」という。
「福岡県に対して非常に不親切な対応であった。自動停止が午後1時40分、2時間以上も経過してからしかも記者会見後にFAXで知らされただけで普通は逆。九州電力との協定以前のことで、信義の問題だ。今回はたまたま放射能漏れなどの大事故にならなかったが、2時間以上経過してからの報告では自治体としての対応が機能しなくなる。糸島市は年間約100日程度西風が吹く。すでにわかっている通り、放射能は風に乗る。原子力安全委員会は防災対策のエリアを半径30kmまで拡大することを進めている。これに準じて九電は、福岡県に対して誠実な対応をとらなければならない」(月形県議)
10月7日、福岡県と福岡市および糸島市が、原子力安全協定を締結するよう九電に申し入れた。これは、原子炉の故障、核燃料物質の漏えいなどの緊急時に原発立地県並みの迅速な情報提供を求めるもの。また、通常時においても、発電所の保守運営状況について定期的、または県の求めに応じて情報提供するよう求めている。さらには、必要に応じて自治体側が原発内に立ち入り調査ができるなどの内容である。
今後、さらなる防災対策の強化へまい進することを強く訴えている月形県議。同県議をはじめ、福岡県と県の防災およびエネルギー・水安定供給調査特別委員会の活動により、原子力事故対策を含んだ防災対策が構築されることに期待がかかる。
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