50社を超える日系企業の中国進出のコンサルティングを行なっている弁護士法人ブリッジルーツ代表の橋本吉文弁護士。年に何度も行き来するなかで、自身が感じる中国の現状をレポートしてもらう。
今年に入り4度、天津を訪れた。そして、最近非常に思うのは、上海や北京が成熟してしまった今こそ、天津・武漢といった都市がおもしろいということだ。中でも天津はいま世界一のエコタウンを目指している都市で、かなり勢いがある。
天津は北京から新幹線で30分ほどの街だ。温家宝首相の出身でもあり、上海に対抗して、世界の金融都市を目指している。首相の出身ということもあり、首相の任期の2012年までに、かなり大きく発展するだろう。私の顧問先のなかでも、中国と言えば、上海や北京に進出したがる企業も多いが、大手企業のように、ヒト・モノ・カネが潤沢にあるところならまだしも、中小企業はとくに、天津のような第2の都市を目指すべきだと考えている。
天津の人は開放的ではないと昔から言われてきた。港もあり、道路もあり、地元で割と何でも事足りるうえに、歴史伝統を重んじる人たちが多い。地元が好きで内向きな人たちが多いと言われてきた。それが北京から近いにもかかわらず、発展が遅れた理由でもあると言われているが、ここにきて国家級のプロジェクトが進んできている。とりわけエコや水に関する政策を充実させてきており、建設会社や不動産会社などはチャンスと言えるのだ。
また、天津にはいまだサービス業は少ない。トヨタが古くから工場を稼働させているが、日本の企業はまだまだ少数だ。日本のおもてなしや接待ができる店などはほとんどないので、サービス業には、進出の余地は十分にあると言えるのではないか。
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