(以下文章は一般社団法人市民講座運営委員会発行、『住宅塗り替え工事で失敗しないために読む本』から抜粋しています。)
安全面や塗布量についてなど、当たり前のことをきちんと守る業者かどうか、確認しておく必要があります。
ポイント3では、工事品質において確認しておくべき点をご説明します。安全面や塗布量についてなど、塗り替え工事をする際に業者が守るべきことはたくさんあります。しかし、「一旦契約してしまえば、工事の最中のことは発注者側には分からないだろう」と思い、好き勝手に工事を行なう業者が、当たり前のように存在します。
そこで、工事のやり方・品質について気にしている姿勢を示す必要があります。そして、工事の品質にも問題のない業者を選ばなければいけません。たとえプロによる正確な診断と、根拠の確かな見積もりが揃ったとしても、実際の工事がいい加減であれば全てが台無しになってしまうからです。
信頼できる業者を選ぶために、安全管理・塗布量・職人との関わりという3つの角度からご説明していきます。
安全管理
信頼できる業者は、安全管理も徹底しています。
塗り替え工事を含む様々な工事と事故発生の危険性は、切っても切り離せないものです。もしも、塗装工事中のご自宅で事故が起これば大変な事態になります。職人の落下事故をはじめ、塗料が入った缶の落下など、常に様々な危険がつきまとっているのです。そのため、工事には多くの法的規制があり、労働安全衛生規則には、ありとあらゆる安全管理についての決まりが制定されています。
たとえば、塗り替え工事に必要不可欠な足場については、資格者を有する足場業者に頼んで設置してもらわなければなりません。ところが、その足場設置にかかる費用を削減しようと、勝手に簡易足場を作って作業を行なう業者も多くいるのです。これは、法律違反になるうえ、未熟な足場ではきちんと塗ることができず、塗装品質の低下も招いてしまいます。また、そのような業者は大抵ヘルメットや安全帯も着用しないまま工事を行ないがちです。それはもはやタクシードライバーがシートベルトをせずに運転しているようなもの。そのような業者を、プロと呼べるでしょうか。信頼して大切な住宅を任せられるでしょうか。当然、工事を頼むことなどできません。
もしかすると、「安全面に多少配慮しなくても、塗装さえきちんとやってくれればいい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは、誤った認識なのです。信頼できる業者、塗装の品質をきちんと守る業者は、安全管理についても徹底して守ります。逆に、塗装の品質についていい加減な業者が、安全管理についてもいい加減なのです。人命のため、そして住宅のために、安全管理にも意識が高い業者を選びましょう。
塗布量
品質を最も左右するのが、塗布量の問題です。
多くの業者が守らず、塗り替え工事の品質低下を招いているのが「塗布量」の問題です。これまでの内容にも何度も出てきましたが、それほど決められた塗布量を守らない業者が多いのです。そしてそれはつまり、塗料の性能を発揮させようとする意識が低いといえます。
だからこそ発注者側も、工事の前にどんな塗料が何缶使われる予定なのかを知っておく必要があります。そして、メーカーが定めた規定塗布量に基づいて、必要な缶数が確実に現場で使われるようにしておかなければなりません。
もし塗布量が守られないまま薄く塗られてしまうと、すぐに色あせて、住宅が紫外線・排気ガスなどのダメージをストレートに受け劣化していきます。あくまでも、適正な量が塗られてはじめて、その塗料の本来の性能が発揮されるのです。
先ほども述べたように望ましいのは、工事にとりかかる前に現場に搬入した塗料を写真撮影して、報告書にて提出されていることです。全ては業者の体質・意識の問題なので、契約の前に必ず塗布量について確認し、当たり前のことを当たり前に守ることのできる業者を選んでください。
【本日のポイント】
正しい診断書と見積書が揃っても、工事の現場で品質が保たれなければすべてが台無しです。きちんと事前に「現場で行なわれること」について確認しておきましょう。工事内容についても、毎日確認するぐらい積極的な姿勢が大切です。
【掲載予定】
10/28(金).「坪数一式見積り」に御用心!業者選びの失敗が招く塗り替えクレーム
10/29(土). 失敗しないためにしっておくべき基礎知識
10/31(月). 業者決定で失敗しないポイント(1) ちゃんと診断されていますか?
11/1(火). 業者決定で失敗しないポイント(2) あいまいな見積りはトラブルのもと
11/2(水). 業者決定で失敗しないポイント(3) 工事の品質は確保されていますか?
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