このビジネスモデルに登場するのは、「人材紹介会社」「人材」「企業」の三者です。話を分かりやすくするために、このビジネスモデル以前の三者の関係から入ります。例えば、あなた(人材)が転職をしたいと考えた場合、まずは直接企業に自分で応募するか、人材紹介会社経由で自分を紹介してもらう方法がとられます。
「人材紹介会社のポータルサイト」という新しいビジネスモデルでは、人材、人材紹介会社、企業の三者のすべてをIT(サイト)で管理してしまうというものです。一度、この囲い込みが成功すれば、三者を自由にコントロールできるようになります。
現在、この分野で大手のQ社やE社は、自社でポータルサイトを作り上げました。そして、そこに広告宣伝、転職イベント等を通じて転職希望者を集め、サイトに登録してもらいます。IT世代の20代が多く集まることになります。筆者が何度か、軽率な転職は如何なものかと申し上げている、入社3年以内の層もとても多くいます。飛びついたというか、飛びつかされたのでしょう。
サイトの集客は宣伝・広告等露出だけが決め手で、資金力の競争です。ITの世界の話なので、ここでも先行者の総取りという図式は変わりません。
こうした自社のポータルサイトへの登録が多ければ多いほど、サイトを営業する際に有利に働きます。質的には、転職意識が高い層、20代の若年層、一流大学を出ている層などを多く集めることができれば成功ということです。
これらをもとに、人材紹介会社に売り込みをかけ、自社のサイトへ参画してもらうことになります。基本はこれだけです。
当初は中小・零細人材紹介会社しかサイトへ参画しませんでした。怪しげなビジネスモデルだったし、単独で事業展開できていた大手の人材紹介会社にはその必要もなかったからです。
業界では、「自転車操業モデル」と言われて笑われました。大手老舗人材紹介会社の経営者のなかには、「すぐに閉じるでしょう!」と放言する方も多くいました。
しかし、インターネットの力が恐ろしいのは、現在の結果をみればよく分かります。反対に閉じたのは、大手老舗人材紹介会社の方だったのですから・・・。
<プロフィール>
富士山 太郎(ふじやま たろう)
ヘッドハンター。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。財界、経営団体の会合に300回を超えて参加。各業界に幅広い人脈を持つ。
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