民主党経済連携プロジェクトチーム(PT):(座長:鉢呂吉雄衆議院議員)は今月6日、役員会を開き、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加の是非について、9日に意見集約を目指すことを決めた。交渉参加に慎重な役員会メンバーも、9日の意見集約は了承したものの、慎重派は、12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で野田佳彦首相がTPP交渉の参加表明を見送るよう主張しており、9日に交渉参加の方向で意見集約できるかは不透明な情勢。
TPPへの参加について賛成だ、反対だ、と与野党を問わず政治家の間でも意見が分かれている。また、産業界対JA・医師会の対立構図のなかで、経済評論家のなかにも賛否両論がある。
TPPに参加した場合、生活への影響もかなり大きそうな気配だが、日本経済を支える屋台骨である製造業のなかでも、恩恵を受ける輸出関連企業と安い海外製品が流入すると太刀打ちができなくなる中小企業の倒産や雇用の悪化も予想されるなど、問題が複雑化している。
まず、関税が廃止されることにより車や家電などが今よりも安く海外で販売できるようになり、輸出がさらに伸びることが予想される。
たとえば、日本からアメリカへ自動車を輸出する場合、現在は2.5%の関税がかかっている。テレビの場合、最大で5%。であるが、TPP参加により関税がゼロになるメリットは大きい。
一方、コメの輸入関税は778%(1kg当り391円くらい)。ちなみに小麦・大麦は252%、バターは482%、砂糖325%、こんにゃく芋に関しては1705%で、日本の農業は保護されている。しかし関税の撤廃により海外の安い農産物が流入すると日本の農業に壊滅的な打撃を与え、日本の食糧自給率も大きく下がり、国益を損なうとの論拠からTPP参加に反対する声もある。
・TPP参加に反対の立場には、
鎖国 攘夷 保守 農業 過疎化 高齢化 輸入阻止 農業衰退 国民皆保険の堅持
・TPP参加に賛成の立場には、
開国 友好 革新 工業 都市化 少子化 輸出促進 海外移転 医療制度の見直し
などの対立軸があり、それぞれに言い分が食い違っていることから、問題解決の糸口が見られないのが現実であろう。
貿易立国の日本が将来に向かって生きていくには、TPPへの参加は避けて通れないと思われるが、政府には、徳川幕府が1858年(安政5年)6月19日に、日本とアメリカ合衆国の間で結んだ「日米修好通商条約」の様な不平等条約を結ぶのではなく、国益に沿う条約かどうかの判断材料として、TPP参加のメリット・デメリットを国民に広くかつ詳細な情報開示をし、コンセンサスを得ることが求められている。
今一度、明治天皇が公卿や諸侯などに示された明治政府の基本方針である五箇条の「御誓文」を、思い起こすことが大切ではないだろうか。
一、 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス
一、旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
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