11月1日、福岡空港の誘導路複線化にともなうターミナルビルの移設に向けて、福岡市都市計画審議会は、交通広場として駐車場などに使用されている第1ターミナルビル東側の土地をビルの建設が可能となるよう都市計画を変更する議案を了承した。
現在、福岡空港の国内線側誘導路は一本のみ。混雑時に駐機場と滑走路との移動をスムーズにするために、国土交通省が複線化を計画し、第1ビルを東側に約50メートル移設する検討をしている。しかし、移設した場合、2カ所の駐車場は使えなくなるので、その代わりに第3ビル東側の駐車場を立体化し、バスプールも併設させる。この予定地を新たに追加することで、現在約2万9,500平方メートルの交通広場は、約1.5倍の約4万5,800平方メートルに拡大する。整備完了後の駐車台数は、現在とほぼ同じ規模の935台程度になる見通しだ。現段階では、再整備の時期などは未定となっているが、都市計画の変更が了承されたことにより、誘導路増設に向けて前進したことになる。
つまり、今回の都市計画の変更は、「新たな誘導路の増設にともなう、第1ターミナルビルの移設」によるもので、滑走路の増設や新空港の建設計画などとは、直接関係はない。
航空機は、旅客の乗降などを終え、再び出発するにあたって滑走路に向かう際に、特殊車輌に接続して、後退もしくは旋回をする必要がある(いわゆるプッシュバック)。その際に現状では、プッシュバッグをしている間、着陸した他の航空機は待機することになり、滑走路占有時間が長くなってしまう。よって、複線化することで、着陸した航空機が待機することなく誘導路に進入でき、滑走路占有時間を短縮させることができるというわけだ。
福岡空港は、都市の中心部に所在する利便性に優れた空港である。同じような立地条件の空港は、世界的に見てもジュネーヴ・コアントラン空港(スイス)かシドニー国際空港(オーストラリア)くらいしか例がなく、福岡発展の中心的な存在であることは疑いようがない。しかし、その反面、抱えている問題も多い。
福岡空港の利用者数は、年間1,603万人(2009年度)。これは、羽田の6,205万人、成田の2,945万人、新千歳の1,659万人に次ぐ全国4位の数字で、滑走路1本の空港としては、国内1位である。また、航空機の年間発着回数は、1年に13.7万回(2009年度)と、こちらも滑走路1本の空港としては、全国1位になる。
もともと限られたせまい敷地しかない福岡空港にとって、発着回数の増加は深刻な問題で、現空港の滑走路処理容量の限界は、年に約14.5万回とされる。国土交通省の試算では、このままいけば、2017年には最低でも年間16.1万回の発着となり、容量を超過する見込み。
今後、都市としての福岡が発展していくなかで、福岡空港が抱える数々の問題解消は、待ったなしの急務である。
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