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高い技術力を持ちつつも事業基盤の安定さに欠け破綻へ(前)~サワテック(株)
倒産を追う
2011年11月 9日 18:05

<独自の浄化システムを開発>

サワテック本社.jpg サワテック(株)は1994年4月、創業者の故・藤田榮氏が成田商事(株)を創業設立したのが始まり。同年9月に九州成田商事(株)に社名を変更し、現在の事業の礎である環境設備機器の研究に取り組み始めた。95年3月に現商号へと変更。2000年8月に藤田悦子氏が事業を継承し、その後、当時専務で実質的な経営を行なっていた澤田善行氏が04年3月に代表取締役社長へ就任した。
 
 澤田氏が商品化を目指し、研究を重ねてきたのが「NACシステム」と名づけられた高濃度気体溶解反応装置である。同装置の特徴は、気体を液体にほぼ100%溶解・反応させることができる。それまでは、気体を液体に溶解させようとする場合、散気装置によって気体を微細な気泡にした後に、液体との接触反応によって溶解させる方法が一般的であった。

 しかし、同社が開発したシステムは、一時的に液体を溶解することによって気体と液体の接触反応でない溶解反応となるために未反応の気体を生じない。この技術を利用することでオゾン処理や浮上分離処理、高濃度酸素溶解などを行なうことが可能で、これまでの浄化システムのように大掛かりでもなく、薬品に頼ることはない。そのため、場所や環境を選ばずに処理できることが大きな利点だった。

 研究期間を設け、浄化システムの開発に時間をかけたこともあって成果は上々。特許の取得も行なったことで営業開発に着手した。官庁、国内の企業はもとより、中国、韓国、台湾、タイ、シンガポール、米国などの国々からの評価を受けた。とくに経済発展が著しかった中国・雲南省で、同社のシステムが採用されたことで各方面から注目を浴びた。

 09年3月期ではピークとなる3億3,890万円の売上高を計上。利益も3,122万円を確保するなど、経営安定化に向けた営業戦略を開始した。

(つづく)
【道山 憲一】

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