＜九州ビジネス大賞を受賞＞
　長年重ねてきた研究で培った技術が世間に認知され出してきたサワテック（株）。九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ（以下K-RIP）が開催している「九州環境ビジネス大賞」に同社が開発した「ＮＡＣシステム」が大賞を受賞した。K-RIPは「３回目にして優れた商品・サービスが九州環境ビジネス大賞に該当した」としている。同社の技術面の優位性が高い評価を受けていた証左である。

　同システムの有効性や優位性は国内外問わず認められつつあったが、財務面では債務超過に陥り、厳しい資金繰りが続いていた。2007年３月期では売上高7,057万円で当期損失は6,209万円を計上して、4,665万円の債務超過に陥っていた。有利子負債は1億4,386万円であった。同時期は営業よりも、システムの研究を優先していたためとされている。その後、営業の強化を図り、澤田代表自ら国内外に奔走した。その結果、08年３月期での売上高は３億2,543万円に急増、09年３月期においてはピークとなる売上高３億3,890万円、当期利益3,122万円を確保したのだった。

＜軟弱な事業基盤がゆえに持ちこたえられず＞

　しかし、11年３月期には売上高は9,200万円までに減少。営業損益段階でも6,343万円の大赤字を計上。当期損失で6,381万円の損失を計上した。このため欠損金が2億9,221万円とさらにふくらみ、債務超過も5,921万円に拡がった。有利子負債も社債の3,500万円と長期化借入金２億7,241万円合わせて３億741万円にも膨らみ、売上高の減少も大きく影響して月商換算で約40カ月分までになった。これでは、国内外からの注目を集めても採用件数の増加に至らず、中国への事業の広がりも期待できなかったこともあり、同社は厳しい市況に飲み込まれていった。

　以前、澤田代表は「設備の販売に関しては利が薄くても長期にわたるメンテナンス料で事業の利益が確保できる」と、コメントしていたが、基本となる設備の販売が大前提だったはずである。その先には、研究開発の成功を経て、営業重視へと転換を図り、事業の安定化を図るねらいがあった。だが、今回業績が大きく落ち込んだことで、もともと厳しい資金繰りがさらに悪化。ついには11月７日付けで事業を停止し、同社は破産手続申請の準備を行なうこととなった。なお、負債総額は約３億9,000万円が見込まれている。

　世界人口は70億人に達したと報じられ、これから深刻な水問題が発生するだろうと言われている。そのようななか、オゾンを用いた同社の水の浄化技術は期待されていただけに、今回の破綻は実に残念である。

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