<空き家800万戸>
国の調べによると、2008年の時点で全国の「空き家」は756万7,900戸あるという(関連記事はコチラ)。さらに、「空き家」は年平均で18万戸増えているというから、現時点で800万戸台に到達しているだろう。日本の総住宅数の14%を占めるそうだ。このなかには修繕をしなければならない危険な家屋が数多く存在している。しかし、「どうであれ住まいのない人たちに緊急避難の生活スペースとして提供することは善策」と思うのだが、現実に実行するにはハードルが高い。
田舎に帰れば、たくさんの「空き家」を見かける。子供たちは田舎に帰らない。残された高齢になる両親たちは老人ホームを終の棲家にしている。田舎ばかりはない。福岡市内の一等地においても「空き家」が点在する。中央区笹岡地区でも古ぼけた家が目立つ。老人が一人暮らしをしていれば「あー、あの家はあと2年で『空き家』になるな」と、想像ができる。深刻なのは一等地の住宅がすぐに右から左に転売できないということだ。
<住宅産業が日本の経済を活性化させる役割は認めるが>
「空き家」が毎年18万戸増えて累計800万戸に達したとしても、住宅産業が活況を呈しなければ日本経済が沈没することを充分に理解はしているつもりだ。1億円の金が10回廻れば10億円になる。住宅産業の特性は金を廻させる効果が大だということだ。家を建てることは、たくさんの職人の雇用を創出する。住宅関連の商品が売れる。4,000万円の家が建てば、その10倍の4億円が動いたという勘定になる。
3.11の東日本大震災の発生もあって、住宅の売れ行きが良い。東日本の被害地区は止むを得ず住宅の建て替えを余儀なくされており、復興需要が根強いことはわかる。だが他の日本各地では本当に住宅を渇望しているのか!! 売れるには売れるための何らかの仕掛けがある、背景があるはずだ。それを探ってみたら住宅ローンの驚異的な金利低減に行きついた。住宅ローンの金利が1%割っているのには驚いた。筆者が初めて建売を手にしたのは昭和51年8月である。その時の金利が10%台であった。当時、金融情勢が逼迫していて銀行ローンが制約されており、生保ローンを組むしか選択がなかった。
最近、弊社の社員が西鉄大牟田線沿いに住宅を買い求めた。土地付きで3,750万円の買い物である。子ども二人を育てながら共稼ぎを続けて頭金700万円を溜めた。このいじらしい努力のエピソードを聞いて涙が出た。毎晩、夫婦で「頑張ろうねー、子どもたちのためにもマイホームを建てようや!!」と、激励しあう光景が目の当たりに浮かんできた。いまどき珍しい『家族結束』のホットなドラマだ。だが共稼ぎといえども子どもに金がかかる時期に差し掛かっているし「3,050万円のローン返済は苦しいのではないか」と、危惧の念を抱いた。「ところでさー、住宅の金利はいくらになるの?」と聞いた。「ローン金利は安いのです。1%切った0.9%前後です」との回答があった。
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