日本郵便とインターネット競売大手の米eBay(イーベイ)は11月8日、日本から海外向けの国際小包発送手続を簡素化することで業務提携したと正式に発表した。
eBayの利用者数は世界で9.700万人以上、出品数は約2億点とされ、アメリカでは最大手のインターネットオークションサイトである。現在でもeBayに日本のユーザーが登録し、参加することは可能。しかし、海外のユーザーが落札した商品を、日本国内の出品者が海外に発送する場合、通関に必要な書類を英語で作成する必要があり、それが原因で日本では利用が伸び悩んでいる。
今回の提携で、国内出品者が住所や名前、内容品などをローマ字入力すれば、英語書類が自動的に作成されるようにし、さらに通常よりも2~3割程度安い送料を設定して利用を促進する。サービス開始は来年春の予定。
国内郵便物の引取数は、電子メールの普及などの影響もあって、年に3%のペースで減少している。1988年度以降、日本郵便が引き受けたはがきや封書などの郵便物数は、200億通台を維持してきたが、2010年度には約198億通まで減少。23年ぶりに200億通の大台を割った。同社は国内郵便減少分の補完を国際郵便の拡大で狙っており、今回の提携につながった。数年後には、eBay関連の国際郵便で年間数百万通の取扱を目指し、今後は海外向けのネットショッピングにも配送システムを提供していく考えだ。
eBayのアジア太平洋地域のマーケティングを統括するKang Shin Bongシニアディレクターは、日本を「中国、香港に続く3位の市場」であるとし、国内に巨大なネットワークを持つ日本郵便と手を組んで、潜在的需要を掘り起こす方針。また、日本の出品者を増やすことで、海外で人気の高い陶器や漆器、アニメグッズなどの拡充を図っている。
当然のことながら、出品をするにはeBayへの登録が必要で、出品者は品物を出すだけでなく、落札することもできる。この先も続くと考えられる円高の影響や豊富な出品数を考えれば、国内シェア8割を誇るとされるYahoo!オークションやBIDDERS(ビッダーズ)、楽天などの国内オークションを脅かす存在になる可能性がある。eBayの利用者が国内で急成長した場合、どのようなことが想定されるのか。
米国でeBayは、「ネットオークション=eBay」と言っても過言ではないほどすでに認知され、手軽に利用されている。国内で利用者数が伸び悩んでいたネックが解消されるとなれば、急速にシェアを伸ばす可能性もある。
静かなる黒船の来航で、気が付いたときにはシェア逆転の"チェックメイト"になりかねない。この提携が与える影響を先に検証しておく必要がありそうだ。
| (2) ≫
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら