その利便性ゆえに様々な問題を抱える福岡空港。その現状と、今後の展望について、福岡市経済振興局空港整備推進担当課長の相川氏に話を聞いた。
――現在、福岡空港が抱える問題を解決するには、滑走路を増設するか、新空港が必要になると思われます。
相川課長(以下、相川) たしかに抜本的な解決のためには、平行誘導路の複線化だけでは足りません。抜本的な対応方策については、2008年度までに4段階に分けて検討し、最後のPIステップ4では、滑走路増設案と新空港案のメリット・デメリットを挙げてまとめられています。その結果を受け、現在、滑走路増設案で検討を進めているところです。しかし、現状で既に朝夕のピーク時では滑走路が逼迫し、航空機の待機による遅延が発生しているので、別途誘導路の複線化の検討を国で進められています。
――つまり、抜本的な解決方法を待てないほど、福岡空港は混雑しているのですね。
相川 はい。最近もハワイ路線の就航や、国内では、日本航空さんや全日空さんがLCC(ローコストキャリア。サービスの簡素化や運行費用の削減により、低価格でサービスを提供する航空会社)を立ち上げ、福岡空港のニーズは大きいと考えており、利用は伸びていくと思われます。そして、アジアの玄関口としての役割も、今後、ますます重要になっていくはずです。
――具体的には、どれくらいの伸び率を見込まれていますか。
相川 これは、国の需要予測になりますが、国内線に関しては、将来の人口減を反映し、低い伸び率ではあります。しかし、国際線は、アジア諸国の経済成長などにともない、利用者の高い伸びが見込まれています。08年度の国際線利用者は204万人でしたが、32年度には、倍以上の436万人になると予測されています。
――そうなると、滑走路の増設や平行誘導路の複線化は、急務のようにみえますが、施工する時期などは決まっているのでしょうか。
相川 滑走路の増設については、まだ、検討段階です。また、誘導路の複線化についてもまだ事業として認められておらず、今後のスケジュールに関しては未定となっています。しかし、空港の機能を強化するのが最優先ですから、福岡市としては、なるべく早急にとお願いしているところであります。
――『アジアのリーダー都市』を目指す福岡の重要なインフラとして、迅速かつ確実な発展が望まれていると思います。本日はどうもありがとうございました。
東アジアにおける3時間アクセス圏が東京よりも広く、福岡空港は九州およびアジアの玄関口としての役割を担っている。都市機能と自然環境の調和がとれた先進的なモデルとして、アジアのリーダー都市になるためにも、福岡空港の確かな発展が必要不可欠であり、今後の動向に注視していきたい。
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