<味噌の出荷数量は35年間で23%減>
日本の国民食ともいえる味噌汁。味噌汁の素になる味噌は一般的なものが米味噌で、九州地方では主に麦味噌が使われている。また、愛知・岐阜などの中京地方では豆味噌(八丁味噌)が使われ、地域によって味噌の種類も豊富である。日本の食文化から切っても切り離せない存在である味噌汁だが、昨今の「メタボ対策になる」といった、"健康ブーム"に乗ってその消費量は増えているとも言われている。はたして本当にそうなのだろうか?農水省の生活動態統計調査と全国味噌工業協同組合連合会(以下、全味工連)の調査資料によると、36年前の1975年度の味噌の出荷数量が56万1,462トンであったのに対し、2010年度は43万2,734トンと35年間で約13万トンも減少、率換算だと実に23%も減少している。味噌の出荷数量は1975年度からの統計で毎年増減を繰り返してきたが、1998年度を堺に12年連続で出荷数量が減少する事態となっている。
「食生活の変化が大きな理由かもしれません。昔は朝、味噌汁が食卓にあがるのは当たり前でしたが、食生活の欧米化により、味噌汁の消費量が減っているとも思われます。しかし、九州地区は昔と比べて特に減っているような気がします」と語るのはとある食品メーカーの担当者。実際に、「これからの国際社会において欧米諸国に追いつくためには朝はパンと牛乳だ!」という理由で、10年以上前から朝、味噌汁を飲まなくなった家庭があった。専業主婦が減り共働き家庭が増えるなかで、忙しい朝に味噌汁を作る時間がないという理由でパンと牛乳といった簡単な食事になったところもあるだろう。味噌の出荷量が減少した背景には様々な理由があると思われるが、取材を続けていくうちに、九州人が利用する麦味噌の消費量が特に減少していることがわかった。
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