最近面白い話を読みました。「電波時計」はとても不便だという話です。電波時計は絶対時間ですから、正確に時を刻み続けます。その反面、故意に進めたり、遅らすことができません。小さな心配りとか心の余裕という相対的な時間を奪ってしまうという話でした。
筆者は仕事柄、時計を10分程度進めています。待ち合わせに遅刻が絶対に
許されないからです。あるとき、電波時計を買ってしまった後に進めることができないことに気づきました。これは、盲点でした。
現代は、マルチメディア時代と言われています。自分の回りに、膨大な情報が飛び交っています。
しかし、本当に我々はそれほど多くの情報を必要としているのでしょうか。
むしろ、今我々に求められているのは、知識ではなく"智慧"(ちえ)ではないでしょうか。智慧とは、筋道を立てて物事を考える力です。
我々はキーボードをたたいて簡単に情報を得ことを覚えてしまいました。しかし、その情報は自分の手と足を使って集める情報とは質が違うのです。簡単に得られるものは簡単に消えるし、信憑性も薄いものです。何よりも自分で見つけたものはでないので、実感が涌きません。
筆者は、前のシリーズで、"スペック"(専門性の数値化)による狭い判断ではなく、"人物判断"で採用を決定できる"大"人事部長の出現を望みました。
復活の兆しさえ見せない日本経済、東日本大震災や、昨今の円高も影響して、日本国内で大量に人を採用する時代はとうぶん来ないでしょう。自分の企業にどのような人物が本当に相応しいのかを真剣に考えるべき時が来ています。
「弊社はIT・サイトからの登録は受け付けておりません。直接ご訪問下さい。真に弊社で活躍したい人材をお待ちしております!」程度のメッセージは
人材に出して欲しいと思います。
おそらく、その結果は、人材の質(一過性でなく長い目で見た場合・・・)が高くなることはあっても低くなることはないと思えます。そして、このことは、ベテランの人事担当者であれば、すでにお気づきと思いますが・・・。
これらは、経営に絡む重要事項ですので、役員、社長の決済事項だと思います。
ぜひ、大英断される社長の出現を望んで止みません。
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<プロフィール>
富士山 太郎(ふじやま たろう)
ヘッドハンター。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。財界、経営団体の会合に300回を超えて参加。各業界に幅広い人脈を持つ。
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