10月1日に東京と沖縄で施行されたことで、全都道府県で足並みがそろった「暴力団排除条例」。多くの指定暴力団を県内に抱える福岡県警も取り締まりを活発化させ、建設業者に対する見せしめ的な取り締まりも散見される。もはや暴力団関係者との交際は企業経営上の大きなリスクであり、「暴力団排除」は企業が遵守すべきコンプライアンスのなかでかなりウェートを占める存在になっている。
<またしても「建設業法違反」>
暴力団排除の動きが、ますます加速化している。2011年10月1日、東京都と沖縄県でも暴力団排除条例が施行され、これで47都道府県すべての足並みがそろったことになる。今年前半に話題となった大相撲の八百長疑惑も、元を正せば一昨年に発覚した暴力団関係者に対する相撲協会の利益供与(特等席の斡旋)が発端であり、八百長自体に暴力団関係者が関わっていた可能性も指摘されている。また、各マスメディアも対応に追われ、年末に紅白歌合戦の開催を控えるNHKなどは、歌手や所属事務所の「身体検査」を実施し「ブラックリスト」を作成。これが週刊誌に流出して大きな話題となった。
福岡・北九州でも、暴力団排除の動きは如実に現れてきている。福岡県は県内に指定暴力団5団体を抱えることもあり、全国に先駆けて暴排条例を制定している。当初は効果を疑問視する声も聞かれたが、今年に入って発砲事件などが相次いだこともあって取り締まりが本格化。「おにぎり会」事件のように、暴力団関係者との交際が明確であれば社名の公表を含めた法的・事実的制裁を課され、明確でなくとも建設業法違反などの「余罪」を追及されて間接的な制裁を受ける業者が散見される。
9月28日、堀土木(株)(北九州市小倉南区)の代表者が小倉南署に逮捕された事件が記憶に新しい。表面的には粉飾決算書類の県への提出という建設業法違反事件であるが、対応にあたった部署が小倉南署・北九州地区暴力団犯罪捜査課であったことから、先に破綻した大内田建設などの事例同様、暴力団排除に非協力的な姿勢を示す企業への見せしめ的な逮捕であったとの観測が流れている。
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