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特別取材

【シリーズ告知】北部九州の原発と私たちの生活(序)
特別取材
2011年11月15日 07:00

<はじめに>

genkai.jpg 「玄海町は全国平均に比べて11倍も白血病り患率が高い。唐津市でも全国平均より高い数値が記録されている。これは原発があるせいだ」

 唐津市で農業を営むAさんは、玄海原発への恨み節を語ってくれた。Aさんだけではない。玄海町周辺では、原発を怖い存在として認識している人が多数いる。ある人は、自分の不妊の原因は原発から発生する放射性物質が田畑を汚染し、それの野菜を食べているからだと言うし、またある人は子供の安全を守りたいから原発に反対しているという。言いがかりとも思える論も多数あろうが、それでも3月の東北大震災の惨状を見れば、やはり原発は危険なものと認識しても仕方がない。

 「日本の原発は安全だ」と、かつて電力会社、国は言い放った。そして、金をばらまき立地を促がし、建ても建てたり50余基。安全は間違いないという確信のもとで行なったのならば、これは是である。しかし、今となっては、この認識そのものが間違いだったと言わざるを得ない。当時の認識の甘さは指摘するまでもないが、今さら言っても仕方がない。福島では今も不安のなかで暮らしている方が多数いらっしゃるのだ。日本の原発も他国の原発もかわりなく「地域を壊滅的な状態に追いやる危険性」をはらんでいる。これを肝に銘じて、これからの電力の在り方を考え直す時期にきているのだ。そして、その考慮時間は長く残されていないことも忘れてはならない。「万一」が明日、訪れることになる可能性も捨てきれないからである。

 本シリーズでは、九州、とくに玄海原発を中心とした情報を取り上げていこうと思う。すでに稼働している玄海原発は、地域にとって必要な要素なのか、それとも時限爆弾なのか。行政の思惑、住民の考え、従業員の思い。存続させるべきか否か。連載を通じて、読者各位が判断できるようなものを書いていきたいと思う。

 こと原子力に関しては、憶測や真偽のわからないうわさ、イメージがつきまとい、何が本当なのかがわかりにくい。目に見えず、臭いも味もなく、音もしないが確かにある放射線。それは適正に管理できるものなのか。問題点はどこにあるのか。私たちの生活にどうかかわってくるのか。本シリーズを通して明らかにしていきたいと思う。

(つづく)
【柳 茂嘉】


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