「やらせメール」問題への古川康佐賀県知事の関与をめぐり、九州電力（以下、九電）と同問題などの調査にあたった元第三者委員会のメンバーの対立は泥沼の様相を呈している。
　15日、九電・眞部利應社長は、名城大学教授・郷原信郎弁護士（委員長）、九州大学大学院 法学研究院・阿部道明教授、元第三者委員会の公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事の古谷由紀子氏の３人からの公開質問状に対する回答をメールで送った。

　同質問状は、「やらせメール」問題に関する第三者委員会の報告書について、眞部社長が、記者会見や同社内イントラネットなどで「無実の人に濡れ衣を着せる」といった発言を行なっていたことに対し、同報告書において同社長の発言が同報告書において該当する部分およびその根拠について問い質している。

　眞部社長からの回答書には、「（古川知事と６月21日に懇談した）当社の３名全員が否定しているにも関わらず、（第三者委員会の報告書には）古川知事の発言と九電佐賀支店長が作成したメモの内容が同様であると断定している」との内容を記載。古川知事の名誉に関わる慎重に扱うべき重大な問題として、同社の報告書では「判明している事実のみ記載」したとしている。

　さらに、「以降、個人としてのご質問にはお答えしかねます」としたうえで、前出の「濡れ衣」発言に関して法律家に見解を求め、「名誉毀損が成立する余地はない」との回答を得ていると結んだ。

　これに対し元第三者委員の阿部教授は、「（公開質問状で「濡れ衣」発言への）根拠を聞いたが、"３名が否定している"という部分しか見当たらない」と、説明が不十分であることを指摘。コンプライアンスの専門家である同教授はNET-IBの取材に対し、「やらせメール」問題に関して、トップが福島第一原発事故以降の原発に対する世論の激変に対応できなかったことで不祥事を招いたと、九電トップにおける責任にも言及している。

　回答を受けた元第三者委員会の３名は、きょう（16日）に九電側から送られてくるという質問状の内容を確認したうえで記者会見を開くなどの対応を検討するという。

▼関連リンク
・緊急講演！　元第三者委員・阿部教授が語る『やらせメールとコンプライアンス』
・第三者委員会最終報告書（PDF）
・九電・眞部社長「公開質問状への回答」（PDF）

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