<もっと麦味噌を普及したい>
「九州に来て感じたのですが、こちらの地元の味噌メーカーの方々はCMをはじめ、PRもあまりやらないんですよね」と、とある食品メーカーの担当者は語る。たしかにテレビでは大手味噌メーカーのCMは軽快なメロディーとともに流れてくるが、地場の味噌メーカーのCMはほとんど見たことがない。地場スーパーの担当者らに話を聞くと、調理用の生味噌こそ地場味噌メーカーの麦味噌が健闘しているものの、即席タイプとなるとほぼ上位はテレビCMを積極的に流す大手メーカーのブランドが占めているという。
大手メーカーの即席味噌汁といえば米麹を用いた米味噌のカツオだしである。九州の麦味噌の味噌汁はイリコだしが主流であるが、そもそも味噌とだしの組み合わせを若い人たちがどれだけ知っているのだろうか。
九州地区に住む人たちが、大手メーカーの影響で「米麹の米味噌とカツオだしの組み合わせ=味噌汁」が常識となっているならば、麦味噌が減少している理由もわかる。
「九州の麦味噌文化を廃らせないために、もっと麦味噌の普及させたいと思っています。毎日、麦味噌の味噌汁を飲んで頂きたい。専業主婦から夫婦共働きが増えて、朝、しっかりとした料理が作れない家庭も増えているかと思いますが、味噌汁はご飯と漬物と並んで和食の基本です。味噌汁が家族だんらんを育みます。これから味噌汁をもっと普及させるためには、周囲の方々の理解と協力が必要です」と、前述の食品メーカーの担当者は語る。
思えば九州には長崎のチョーコー醤油くらいしか、有名なブランドはない。食卓に当たり前のようにあり、欠かせない存在ではあるものの、九州では思ったほどクローズアップされていない味噌と味噌汁。体にも良いと昔から言われる日本の伝統食を普及させるためにはどうすればよいか。我々消費者も考える必要がある。
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