高島宗一郎市長が、市長選に当選したのが2010年11月14日。それから1年と1日が経った15日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で、政治資金パーティー「政経セミナー"福岡市の新ビジョンを語る"」が開催された。
高島氏は、昨年、市長選に出馬するために九州朝日放送(KBC)を退職。現職の吉田宏市長(当時)に65.000票の大差を付け、36歳という史上最年少で当選を果たした。"福岡の朝の顔"から、"福岡市の顔"へ、華麗なる転身。しかし、総括的に振り返れば、この1年間は決して順風満帆ではなかった。実際に「祭り上げられて当選した市長」「上手なのはスピーチだけ」などという冷ややかな言葉も多く聞かれたし、それは市長自身の耳にも確実に届いていたはずだ。しかし、市長の言葉を引用すれば、誰しも1年目は「振り返る暇もなく、ただがむしゃらに過ぎていく」もの。重要なのは、真価が問われる2年目以降。37歳の若きリーダーは、どのような新ビジョンを語ったのか。
まず、壇上に上がった市長は、就任1年目を振り返りつつ、今後も市民を「顧客」と捉え、顧客満足度を向上させたいとコメント。また、経済成長だけを追及し環境をおろそかにするような、アジア新興国によく見られる都市計画とは一線を画し、福岡を「アジアのリーダー都市」として、経済・観光・福祉・環境などがバランスよく機能する都市に育てるという、持論をあらためて披露した。
これは、高島市長が以前から掲げる「アジアのリーダー都市!ふくおかプロジェクト」に基づくもので、福岡市を「人と環境と都市が調和のとれたまち」に成長させ、急成長を続けるアジアの都市に近い立地や福岡空港の利便性、またコンパクトに集約された都市機能を活かした都市計画である。
また、高島市長は、生活保護だけで福岡市が年間に負担している金額が700億円であると発表。そして、今後も年間100億円ペースで負担は大きくなっていくとの試算があると明かした。このように、大都市ゆえに社会福祉やインフラの整備、開発など、市民の"顧客満足度"を上げるためには、大きな予算が必要と訴え、その解決策として、独自の「都市が稼ぐ」構想を打ち出した。
民間だけでなく、行政も一緒になって「稼ぐ」という若きリーダーの理想とプランを詳細レポートする。
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