西吉田酒造(株)(筑後市)の麦焼酎「つくし」は、際立った個性で関東・関西に多くのファンを持つ。同社代表取締役専務・吉田元彦氏が「麦焼酎の世界観を確立したい」と歴史ある自社ブランド「筑紫」を再構築して生み出した。
フルーティな「白ラベル」と深みのある「黒ラベル」は場面によって飲みわけられている。「魚料理に合うのは白、肉なら黒」(吉田専務)といった具合だ。その実力は、料理界でも高い評価を受けている。縁があって世界的なソムリエがプロデュースする飲食店にあいさつに行ったところすでに「つくし」が並んでいたという。人気は海外にも飛び火、香港・上海・シンガポールでは流通が始まっており、このほど12月よりアメリカで展開することも決まった。
ところが、製品のほとんどは県外で消費されているのが実情だ。「もっと地元の人々に麦焼酎を楽しんでもらいたい」と、酒造仲間や行政とともに福岡県オリジナルの麦の開発に着手した。穀倉地帯として知られる筑後平野で焼酎用「酎麦」を造ろうというもの。県産麦に西吉田酒造の技術を加えるとどんな製品が生まれるか、寄せられる期待の声も多い。
「sake(酒)」が国際的に浸透した一方で、焼酎は今のところ「ジャパニーズウォッカ」と呼ばれている。「つくし」の広がりや「酎麦」の創出は、世界の酒場で「shochu」のうんちくを肴に語らう日々の到来を予感させる。
■西吉田酒造(株)
代表取締役社長:吉田 由美子
代表取締役専務:吉田 元彦
所在地:福岡県筑後市和泉612
創業:1893年(明治26年)
TEL:0942-53-2229
FAX:0942-52-4088
URL:http://nishiyoshida.jp/index.html
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