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福岡市長パーティー券問題 機能しなかった自浄作用
社会
2011年11月22日 09:20

 11月15日に福岡市内で開かれた高島宗一郎福岡市長の政治資金パーティーに際し、山崎一樹副市長が30枚ほどのチケット(1万円)付き案内状を、市役所内で市職員に対して配布していた問題(福岡市の調査報道サイト「HUNTER」で詳細が報じられている)がさらなる広がりを見せている。

福岡市役所
福岡市役所
 21日、渡邊正光副市長はNET-IBの取材に対し、山崎副市長が同案内状を配布した事実を知っており、自身も複数枚受け取っていたことを認めた。なお、受け取った分を市職員に配布した事実はないとしている。  渡邊副市長は、地方公務員法(以下、地公法)に関して市職員に講演するほど詳しいと「自負している」としている。それならなおのこと、同法36条に抵触する危険性をはらむ山崎副市長の行為を未然に防げなかったことに関して責任があると言えるだろう。

 山崎副市長の行為について、「最低限の法の規定は守られているはず」とする渡邊副市長。しかし、同案内状の配布について市職員の間からも問題視する声があがっており、実際にどのようなかたちで配布(?)が行なわれたか、疑惑は残ったままだ。

 問題はまだある。

 市職員の生え抜きとして副市長となった渡邊副市長は、当然のことながら、平成9年に起きた福岡市役所のパーティー券事件を知っている。同事件は、自民党福岡市議団の創立40周年記念パーティーにおいて、市議らが市交通局幹部に対し、パーティー券販売の斡旋(あっせん)を依頼。地下鉄工事を受注した建設会社に割り当てていたことが表面化し、当時の交通事業管理者が自殺する事態を招いたもので、自殺に追いやられた職員は、当時、渡邊副市長の上司であったという。

 市職員のなかには、同事件が痛ましい記憶として残っており、類似する今回のケースについて、当時を知る市職員は過敏に反応するようだ。仮に、山崎副市長の行為に違法性がなかったとしても、疑惑や不信感は、市職員の間でパーティーを主催した高島市長以下、市執行部に対する不満へとつながる。結果、市政の混乱を招くことにつながる。

 市役所の内部事情に精通し、市職員の心情を深く理解しているはずの渡邊副市長が、なぜ、山崎副市長の行為を止められなかったのか。なぜ、過去の痛ましい事件を教訓として培われたはずの自浄作用が機能しなかったのか――。残念でならない。

【山下 康太】


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