FIFA女子ワールドカップで優勝した「なでしこジャパン」。美しく強い「なでしこ」はスポーツ界だけではない。今、閉塞感ただよう福岡経済界において、男性顔負けでバリバリと働くパワフルな女性たちにクローズアップし、毎回ひとりずつ紹介していく。第4回は、福岡市内4カ所で保育園経営を行なう権藤光枝氏。これまでの仕事だけでなく、待機児童をはじめとした社会が抱える子どもに関する問題についても話を伺った。
<私ならどうする?>
同保育所は、少人数であるため、認可保育園ではなかなか実現できないことを強みとしている。「こじんまりとしているからこそ、芋掘りの体験や、川遊びなど子どもたちに大事な体験をゆっくり、のんびり、じっくりさせてあげたいと思っています」(権藤氏)
また、同保育所では異業種で取り組まれているようなことも積極的に導入しており、保護者は、保育所の様子をHPのウェブカメラで見ることができるようになっている。
「保育所で取り入れたらどうなるだろうと、いつも考えるようにしています。ウェブカメラは、これはいいと思いすぐ取り入れました。安心してもらえる材料としてカメラがあり、少しでもお母様たちが安心して仕事にいける状況が作ることができればいいですね」(権藤氏)自分自身されたら嬉しいこと、母親として子どもにされたら嬉しいことそのような目線で新たな取り組みを行なっている。
<待機児童問題と補助金>
福岡市は、認可保育所を希望しながらも入所できず、認可外保育施設を利用している家庭に補助金を出し、負担軽減をめざす待機児童支援事業を行なっている。しかし、待機児童とは、認可保育園に入園を希望し、入園待ちをしている児童の数である。そのため、最初から認可保育園に申請を出さずに認可外保育園に直接申請を出したケースは、待機児童とはカウントされないので、保育園に預けなければならない人たちの正確な数はわからない。働き方も多様化し、残業も多いうえ、サービス業で働く人も増えるなか、認可外保育園に対する需要も高まってきているという。
「福岡市はどうしても認可保育園主体で考えています。もちろん認可保育園を必要としている方も多いです。しかし認可外保育園も必要です。通常保育で午後6時まで、延長保育を行なっても午後8時までという保育園は多いですが、仕事で迎えが間に合わないと、子どもを迎えに行くために仕事を削るか、辞めるか、認可外保育園に預けるかという選択を迫られます。認可保育園ありきで考えていると仕事を削ってください、退職してくださいということになります。これでは、国が提唱する男女共同参画社会には程遠いです」(権藤氏)
認可保育園に預けると開園時間が短いからそんなに仕事ができない、そうなればやめざるを得ない、パートにしなければならないという状況は、女性が働く機会を失ってしまうということにもつながり福岡市にとってもマイナスとなる。権藤氏は、自治体によっては認可外に通う子どもたちにもきっちり補助が出るところもあるため、福岡市に対して訴えかけを行なっている。権藤氏は、5年、10年後今の子どもたちが大きくなっていったときに、認可も認可外もなく利用者が好きな保育園を自由に選ぶことができ、どちらを選んでも補助がもらえるような住みやすいまち、子どもを育てやすい福岡市にしたいという希望のもと活動を行なっている。
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権藤 光枝(ごんどう みつえ)
(有)Branches代表取締役。1973年兵庫県生まれ。2000年、福岡市南区横手に保育園を開園(現在の井尻園)し、24時間保育所「リトルワールド」園長に。06年箱崎園、08年博多ぎおん園、11年7月、福岡市早良区原に園児教育をすべて英語で行なうリトルワールドイングリッシュハウスを開園し、現在は4園を運営。09年、全国商工会議所女性連合会主催の「第8回女性起業家大賞」で最優秀賞・日本商工会議所会頭賞を受賞。
<COMPANY INFORMATION>
■(有)Branches
所在地:福岡市博多区蒲田2-2-23
設 立:2006年3月
資本金:300万円
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