スポーツ・芸術等の分野において、才能に恵まれた子どもたちを発掘・育成し、世界のひのき舞台へ送る―。テニスや高校野球の名門校として知られる柳川高等学校の校長兼理事長を43歳の若さで務める古賀賢氏。同氏が熱意を持って提唱する「エクステンション教育」と代表取締役として運営する株式会社K's Extension(ケーズエクステンション)について、話を聞いた。
――まず、「エクステンション教育」について、お聞かせください。
古賀 賢(以下 古賀) なかなか耳慣れないと思いますが、私はこれを「第三の教育」と位置付けています。たとえば、テニスの選手で、若くて才能あふれる子どもが居たとします。この子を世界的なアスリートに育てるためには、親が遠征費やレッスン費用などの負担をしなくてはなりませんし、場合によってはそれが原因で道が閉ざされてしまいます。そういう子どもを発掘し、世界に通用する実力と人間性を兼ね備えた選手にするのが目的です。
――古賀社長は、スポーツの名門である柳川高校で校長兼理事長を務められているわけですが、学校教育のなかでそのようなことはできないのですか?
古賀 まったくできないというわけではありませんが、難しいと言わざるを得ません。学校法人というのは、国から補助金をいただいて運営しているので、どうしても活動に縛りが生じます。特待生制度というものもありますが、それが適用できる枠というものが決まっています。また、最近の風潮としては、徐々に厳しくもなっていますから、先ほど申し上げたような育成がなかなか自由にできないのです。
――才能ある選手を発掘・育成し世界に通用するプロとして育てる。では、それをビジネスとして捉えると、どのような仕組みになっているのですか。
古賀 まず、弊社の企業理念に賛同していただける企業様を探す必要があります。つまりスポンサーが必要ということです。現在では、プロのスポーツ大会やプロ選手個人にのみスポンサーが付きますが、これでは、子どもたちにまでお金はいきません。これを打開するのが目的です。
――つまり、子どもたちの才能と未来に投資するということですね。では、スポンサー企業にはどのような形でのリターンをお考えですか?
古賀 たとえば、テニス選手の場合、世界ランクで100位以内ならある程度の稼ぎが出ます。そうなったとき、賞金の何パーセントかを選手からリターンしてもらうということです。それと、もうひとつ重要なのが、選手の肖像権などの版権です。これまで我が国ではまるで整備されていなかった分野ですが、これを育成契約の段階で選手と契約します。当然、選手がメジャーになった場合、そこからの収入は大きなものになります。こういう部分で選手と育成側がきちんとした契約を交わせるビジネスモデルを構築するのも、日本のスポーツ界にとって非常に意味があるものになると思います。
――ちなみに、すでに発掘した選手はいるのですか。
古賀 現在は、テニス選手が2人とレーサー。それからスノーボードの選手がいます。今はまだスポーツ選手のみですが、この先は芸術などの分野にも広げていく予定ですし、実際にすでに注目しているピアニストがいます。もちろん全員中学生か、それ以下の小さな子どもです。
自らが立ち上げた(株)K's Extensionと、日本におけるエクステンション教育の必要性を熱く語る古賀。注目のインタビューは後半につづく。
<古賀社長からのビデオメッセージ>
(株)K's Extensionでは、今の教育や人材育成方法のあり方で良いのかということを疑問に持たれている企業様に賛同を求めています。是非、古賀氏の熱いメッセージに耳を傾けて下さい。 |
<プロフィール>
古賀 賢(こが けん) 株式会社K's Extension代表取締役。1968年8月4日福岡県柳川市出身。ロンドン大学を卒業後、2002年に柳川高等学校の理事長に就任し、09年からは同校校長を兼任。テニスは中学時代に日本一に輝く腕前。好きな言葉は「凛として」。趣味はテニスとゴルフ、ミュージカル鑑賞。
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